全米オープンで2度目の戴冠を狙う大坂なおみ。ここでは彼女自身が過去に同大会で発した「言葉」にフォーカスし、名シーンを振り返っていく。第4回目は、2019年大会で彗星にのごとく現れた15歳のコリ・ガウフ戦後に見られた心温まるシーンを振り返る。
◆ ◆ ◆
スコアは6-3、6-0。大坂はワイルドカード(主催者推薦)で出場してきたガウフを圧倒した。試合が終わりネット際で握手を交わす時、大坂は、対戦相手の目に光るものを見つける。
どこかぎこちないハグを交わし、一度は自分のベンチに戻った大坂は、荷物をまとめるガウフの肩をそっと叩くと、「一緒に、オンコートインタビューを受けましょう」と提案した。
「泣いちゃうから、ダメだよ。こんなに大勢の人の前で泣きたくない……」
そう言うガウフの両目から、みるみる涙がこぼれ出た。だがそれを見た大坂は、なお強く訴える。
「だからよ。このまま帰って泣きながらシャワーを浴びるよりも、自分の想いをここで話した方がいいって」
大坂のこの言葉にガウフは頷き、二人は肩を並べて、インタビューアーが待つコートに戻る。
「私はこの試合から多くを学んだ。ナオミはずっと私に優しかった。本当にありがとう」
最後にガウフは大坂に向き直り、「本当にこの機会を与えてくれてありがとう。あなたのための時間を奪う気はなかったんだけれど」と、改めて謝意を述べた。
続いてマイクを向けられた大坂は、ファミリーボックスに座るガウフの両親に、「あなた方のことを昔から見ている。ココを育ててくれてありがとう」と言うと、涙が溢れる目元を拭った。
後に大坂は、この時の涙の意味を説明する。
「私が16歳の頃、ココと私は同じテニスコート場で練習していた。その時のココは……まだ10歳前後!? なのに8時頃にはコートに来て、他の人が来る前に一人で練習しているの。私にとって一番信じられないのは、そこだった。だって10歳よ……」
その時の幼い少女が、この短期間でアーサー・アッシュ・スタジアムのセンターコートへと駆け上がってきた事実に、大坂は郷愁の涙を流した。
◆2019年3回戦
大坂なおみ [6-3 6-0] コリ・ガウフ
取材・文●内田暁
【写真】2018年全米制覇をはじめ全豪優勝など、大坂なおみのキャリアを厳選写真で振り返り!
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スコアは6-3、6-0。大坂はワイルドカード(主催者推薦)で出場してきたガウフを圧倒した。試合が終わりネット際で握手を交わす時、大坂は、対戦相手の目に光るものを見つける。
どこかぎこちないハグを交わし、一度は自分のベンチに戻った大坂は、荷物をまとめるガウフの肩をそっと叩くと、「一緒に、オンコートインタビューを受けましょう」と提案した。
「泣いちゃうから、ダメだよ。こんなに大勢の人の前で泣きたくない……」
そう言うガウフの両目から、みるみる涙がこぼれ出た。だがそれを見た大坂は、なお強く訴える。
「だからよ。このまま帰って泣きながらシャワーを浴びるよりも、自分の想いをここで話した方がいいって」
大坂のこの言葉にガウフは頷き、二人は肩を並べて、インタビューアーが待つコートに戻る。
「私はこの試合から多くを学んだ。ナオミはずっと私に優しかった。本当にありがとう」
最後にガウフは大坂に向き直り、「本当にこの機会を与えてくれてありがとう。あなたのための時間を奪う気はなかったんだけれど」と、改めて謝意を述べた。
続いてマイクを向けられた大坂は、ファミリーボックスに座るガウフの両親に、「あなた方のことを昔から見ている。ココを育ててくれてありがとう」と言うと、涙が溢れる目元を拭った。
後に大坂は、この時の涙の意味を説明する。
「私が16歳の頃、ココと私は同じテニスコート場で練習していた。その時のココは……まだ10歳前後!? なのに8時頃にはコートに来て、他の人が来る前に一人で練習しているの。私にとって一番信じられないのは、そこだった。だって10歳よ……」
その時の幼い少女が、この短期間でアーサー・アッシュ・スタジアムのセンターコートへと駆け上がってきた事実に、大坂は郷愁の涙を流した。
◆2019年3回戦
大坂なおみ [6-3 6-0] コリ・ガウフ
取材・文●内田暁
【写真】2018年全米制覇をはじめ全豪優勝など、大坂なおみのキャリアを厳選写真で振り返り!