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海外テニス

コロナ禍で「病みかけていた」という19歳の内藤祐希。全仏OP予選初勝利に「うれしいの一言!」

内田暁

2020.09.24

全仏OP予選初挑戦にして初勝利を挙げた19歳の内藤。(C)GettyImages

全仏OP予選初挑戦にして初勝利を挙げた19歳の内藤。(C)GettyImages

 現地時間23日に全仏オープン予選男子2回戦と女子1回戦が行なわれ、日本勢ではダニエル太郎、添田豪、守屋宏紀、そして内藤祐希が登場した。

 ダニエルは実力者のクズネツォフとフルセットの熱戦を演じるが、終盤に突き放され惜敗。全仏予選初出場の内藤は、地元フランスのアマンディーヌ・ヘッセを逆転で破り2回戦に歩みを進めた。

 試合中、内藤は幾度も視線を、電光掲示板へと向けていた。
 目の前のポイントに集中するあまり、スコアを失念することがしばしばあったからだ。
 内藤曰く、それは「調子が良い時のサインではない」という。本来ならスコアを把握し、試合展開と共に相手の心理を読みながら、状況に応じたプレー選択をするのが内藤のテニス。ただこの時の彼女にそんな余裕はなく、ひたすら目の前のボールを追い、打ち返した。

「本当に、上手になってるの??」
 コロナ禍によるツアー中断期、彼女は、解の見えぬ自問自答を繰り返していたという。
 プロ1年目で世界ランキング200位を切り、疾走感のなかで迎えた19歳。だがその直後に、突如として世界のテニスは停止した。
 
 実戦から離れ、対人練習すらできない時期が続く中、ひたすら球出しでボールを打つ日を繰り返す。ただ、練習で放つ美しいボールの軌道は、“試合での強さ”を測る指標にはなりえない。少なくとも、若い彼女の中では、ならなかった。コーチの「良くなっているよ」の声も身体感覚とは重ならず、自分の現在地が分からぬまま、一時は「病みかけていた」という。

 ツアーが再開すると同時に、弾かれるように海外へと飛び出したのが8月下旬。まずはプラハのチャレンジャーに参戦し、そのまま欧州を転戦した。今回の全仏オープンで、海外遠征……つまりは“バブル生活”も5週目に突入。それでも窮屈な生活のストレスより、試合ができる喜びが遥かに勝っているという。

「うれしいの一言! 試合の緊張感が好き。対戦相手と一対一のぶつかり合いができるのが楽しい」と声を弾ませるあたり、根っからの勝負師だ。

 全仏予選の初戦でも、生来の勝負師の資質が発揮された。第1セットは、クレー慣れしている相手の良さが存分に発揮され、対する内藤は「ボールが伸びていない」と感じていたという。

 第2セットも、劣勢のままに迎えたゲームカウント3-3のサービスゲームで、幾度も相手にブレークポイントを握られる。それでもこの窮地を走って拾って切り抜けると、試合の潮流が明らかに変わった。終盤のブレーク合戦を制して第2セットを奪い返すと、第3セットはいきなりのブレークで、主導権を手中に収める。試合が終わった時、電光掲示板に刻まれたスコアは、5-7、6-4、6-2だった。

 スコアを覚えていないのは、決して良いサインではないと本人は言う。ただ、ツアーが再開したばかりの現時点では、それは自分の現在地を知るために必要なプロセスかもしれない。
 試合終盤、電光掲示板に目を向けるたび、彼女は自分のスコアが伸びていくのを確認した。その数字は、自身に向けてきた「本当に上手くなっているの?」との問いに、一つの解を示したはずだ。

文●内田暁

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