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海外テニス

「人と話すのも怖かった」キリオスが“うつ”に悩まされていた過去を告白

中村光佑

2020.11.10

辛い過去を赤裸々に告白したキリオス。(C)Getty Images

辛い過去を赤裸々に告白したキリオス。(C)Getty Images

 度々その言動が注目され、テニス界では“悪童”と呼ばれることもある世界ランク45位のニック・キリオス(オーストラリア)。そんな彼がニューヨークのニュースメディア「News Corp」のインタビューを受け、かつて『うつ病』に悩まされていたことを告白した。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)やラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラーらビッグ3の全員から勝利をもぎ取った経験を持ち、抜群のセンスで人々を魅了してきたキリオスだが、その一方でファンからの期待やフィジカル面での不安から、精神的に不安定な状態に陥っていたようだ。キリオスによれば、自身にかかるプレッシャーから「テニスが楽しくない」と感じていたこともあったという。

「僕はうつ病を患っていた時期があった。本当に苦しい時期だったよ」と、重い口を開いたキリオスは、「ある年の上海オープンの滞在中、夕方の4時に目が覚めた。でも、カーテンを閉めきってそのままベッドに閉じこもっていた。日の光を見たくなかったんだ」と、当時を思い返す。

 さらに、「(周りの)本当は誰も僕に興味がなくて、ただプロテニスプレーヤーとしての僕を利用しようとしているだけなんだと感じていた。誰も信用できず、孤独で暗い場所にいた」と、不安定だった心の内を明かした。
 
 そのような状態に陥った理由について、キリオスはファンと自分自身からの重圧を挙げる。「多くの人が僕にプレッシャーをかけていたし、僕も自分自身にプレッシャーをかけていた。試合も楽しめなくなっていたし、自己コントロール力も失っていた」という彼は、「試合に負けると、周囲の人が失望しているんじゃないかと思って、外に出て人と話すことすらも怖かったんだ」と告白した。

 そんなキリオスは今シーズン、新型コロナウイルス感染の懸念から早々にシーズン終了を宣言。現在は故郷のオーストラリアで、来シーズンに向けてトレーニングを行ないながら休暇を過ごしている。

 今では「プレーすることが恋しい」と語り、「約7か月間試合に出ていないけど、今の時間を存分に楽しんでいる」と、大きなブランクも前向きに捉えているキリオス。来年1月に行なわれる全豪オープンの頃には、心身共にリフレッシュして、一段と強くなった姿を見せてくれることを期待したい。

文●中村光佑

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