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【テニスギア講座】同じに見えるテニスシューズの靴ヒモ。色々違いがあるって本当?

松尾高司

2020.11.15

靴ヒモは形状ひとつでも特徴が様変わりするもの。シューズの性能を最大限に引き出したいトッププロは、靴ヒモにも十分気を使う。写真:THE DIGEST写真部

 テニスシューズの靴ヒモはどれも同じではありません。靴ヒモを替えるだけで自分好みにチューンナップすることもできます。

 スポーツシューズの靴ヒモ全般で必要な性能は以下の3つ。
1=緩みにくい
2=弾力性がある
3=左右均等に結べる

 ここで説明が必要なのは「弾力性」ですね。スポーツシューズは足が激しく動かされるため、足各部への力のかかり具合や足の変形に応じて、シューズも適度に変形しないといけません。負担のない時は足にピタッとフィットしつつも、大きな力が加わった時には適度に広がることで、足への負担を軽減してくれます。

 それを可能にするのが靴ヒモで、動いていないように見えても、微妙に伸びたり縮んだりして、甲へ弾力的にフィットしてくれるのです。「緩みにくさ」と「弾力性」は相反するようですが、ちゃんと同居できるようになっています。ただ、そのバランスがヒモの種類によって違います。

 まず素材が2つに大別されます。1つは「綿素材」で、靴ヒモ同士が交差する点や、通す穴の部分で滑りづらいため、緩みにくいのが特徴。反面、摩擦で繊維が消耗しやすく、突然ブチッと切れてしまう危険もあります。

 それを解消するのが現在の主流「ポリエステル素材」です。これは強靭ですが、滑りがいいぶん緩みやすいのも事実。ただ、それが弾力性に寄与したり、履く時にヒモを締めやすいというメリットにもなります。いずれにせよ、今日ではほぼ全てのテニスシューズがポリエステル製を標準搭載しています。
 
 そして時代によって変化しているのが「靴ヒモの断面形状」。これには「丸型」「平型」「平丸型」があり、丸型は、今では登山靴など丈夫さを重視する靴にだけ使われています。

 平型は昔から運動靴に使われており、薄くて平べったい、ベルト型のものです。ねじれずに通せば、靴ヒモの面がキレイに整い、美しく見えます。また滑りにくいために、緩みにくいのが利点です。

 20年ほど前から増えたのが平丸型。「オーバルタイプ」とも呼ばれます。緩めに編んだ丸ヒモの両側をつまんだように細くすることで、締めた時に平ヒモっぽく変形させるもの。締める時にはヒモ穴との摩擦が少なく、割と簡単に締められますが、逆に緩みやすくもあります。またねじれて、締めた面がきれいになりにくいことも…。

 でも利便性を重視し、ほぼ全てのテニスシューズに平丸型が搭載されてきました。ただ最新の競技モデルには、緩みにくい平型を装備した物も登場しています。

 色んな靴ヒモを試しながら、自分に合った物を探してみてはいかがでしょう。

文●松尾高司(KAI project)

※『スマッシュ』2019年1月号より抜粋・再編集

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