国内テニス

「伝えたいことがあまり伝わらない」。プロテニス選手にとっての英語の必要性を穂積絵莉が実感した時

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2020.12.16

テニス選手として海外を転戦する中で英語力の必要性を強く感じたという穂積絵莉。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 テニスは世界中で大会が開催され、選手たちは1年の大半を海外で過ごすことになる。そんなプロテニス選手は、どれほどの英語力が必要とされているのか? ジュニア時代から海外遠征をしており、プロに転向して約9年が経つ穂積絵莉に話を聞いた。

 英語の必要性を最も感じたのは、「英語でのインタビューがあった時」だと言う。WTA(女子テニス協会)のツアーで初めてダブルスで優勝したのは、ポーランドの大会だった。パートナーは加藤未唯。優勝会見はもちろん英語で行なわれた。「聞かれていることは何となくわかるけど、自分たちが伝えたいことがあまり伝わらなくて……」と、会見は手短に終わってしまった。

 あとは、オンコートインタビューだ。試合がセンターコートに組まれたら、勝者にインタビューを行なう大会がある。「試合中も結構考えちゃいます。勝ったらオンコートインタビューだって。そういう時は、もっと喋れたらなと強く思います」。つまり、強くなればなるほど、英語は必要になってくるのだ。
 
 プロになりたての時、海外を回る遠征自体は「なんとかなるだろう」と、楽観的な穂積は思っていたという。英語は学校の授業でしか習ったことがなかったが、ジュニアの時からジェスチャーと知っている単語で乗り切ってきた。ダブルスで海外選手と組む時も、パートナーが思いを汲んでくれたり、テニスの話なので意外に通じたりと困ったことはないと言う。

 なんとかなってきただけに、必死で英語を学ぼうという気持ちにはならなかった。ただし、トラブルが起きたら大変だ。「ケガをした時に、トレーナーに何があったかを伝えることはできた方がいい。あとは、聞き取ることができた方がいいと思います。聞かれたことがわからないと返事もできませんから」

 今年のツアー中断期間中に、穂積は一般社団法人日本人グローバル化計画推進協会(JAGPP)の『ジュニアアスリート支援プログラム』にスペシャルサポーターとして参加した。これは、コロナ禍で目標を失ったジュニアアスリートに向けて、短期集中型のオンライン英語塾を無償提供したもの。世界を目指す様々なスポーツのジュニアたち17名が受講した。

「実践的なフレーズや英語独特の言い回しなどを覚えられるのですごくいいと思いました。アスリート向けにケガした時のフレーズなどもありました。先生は基本的に英語でしゃべるので、英語に慣れることができると思います」と、穂積も実践的なプログラムを気に入った様子。
 
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