海外テニス

<2020ベストヒット!>「心が空っぽになった」線審にボール直撃で失格のジョコビッチ。ポイントの失効や罰金処分に

中村光佑

2020.12.18

ボールが線審に直撃し、失格となったジョコビッチ。(C)Getty Images

 2020年のスポーツ界におけるトピックスを『THE DIGEST』のヒット記事で振り返る当企画。今回は、線審にボールをぶつけて失格処分を受けたジョコビッチの一件だ。本人は故意ではないと弁明したが、大会側が下した判断は冷静かつ厳格だった。

記事初掲載:2020年7月8日

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 現地6日(日)、全米オープンの男子テニス4回戦で信じられない事態が起きた。世界1位のノバク・ジョコビッチが失格処分で敗退となり、対戦相手のパブロ・カレノブスタ(スペイン)の準々決勝進出が決まった。

 ことの発端は第1セット、ジョコビッチは第9ゲームで5-4とリードを奪い、続く第10ゲームでは0-40とセットポイントを迎えた。しかし、このチャンスを生かせなかったジョコビッチは徐々にイライラを募らせていく。その後、第11ゲームでカレーニョ・ブスタにブレークを許した際に、ジョコビッチがベースライン後方に打ち込んだボールが線審の喉元に直撃してしまった。

 これを受け、一時試合は中断。ジョコビッチは「故意に打ったものではない」と主張したものの、大会側が失格処分を下し、4回戦敗退となった。
 
 今回のジョコビッチの失格処分について、試合後に大会側が公開した公式文書によると、「グランドスラムのルールに則る形で、危険とみなされているボールを打つ行為、それ(ボールを打つこと)によって起こりうる不慮の事故を軽視したことで、ジョコビッチを失格とした」と伝えられている。また、失格処分のペナルティーとして今大会での全獲得ポイントの失効、獲得賞金の没収に加え、危険行為に対する罰金も課されるという。

 ジョコビッチはその後、今回の出来事に対するコメントを発表。「本当に悲しく、心が空っぽになった」としつつ、「彼女にこのようなストレスを与えてしまったことを非常に申し訳なく思っています。意図的ではありませんでしたが、間違っていました。」と、改めて釈明した。さらに、今後については、「この(出来事の)全てを、選手として、人間としての成長と進化の糧にしていきたい」と述べた。

 前哨戦のウェスタン&サザン・オープンの優勝、今季26勝無敗と驚異的な成績を残していただけに、ジョコビッチにとっては何とも不運で形容しがたい結末となってしまった。ジョコビッチの敗退により、今年度のUSオープンでは新王者が誕生することが決定したが、多くのテニスファンから予想外の結末に衝撃の声が広がっている。

文●中村光佑

【画像】「非常に申し訳ない」ジョコビッチの謝罪コメント全文と、ボール直撃の瞬間はこちら
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