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海外テニス

充実のオフシーズンが頂点への架け橋となる。アンベールとルードの21歳コンビ【ツアー初優勝の軌跡|1】

東真奈美

2020.12.25

ツアー2大会で優勝し今季絶好調のアンベール(左)、得意のクレーで初の栄冠を手にしたルード(右)。(C)Getty Images

ツアー2大会で優勝し今季絶好調のアンベール(左)、得意のクレーで初の栄冠を手にしたルード(右)。(C)Getty Images

 テニスのツアー大会で初優勝を飾る。それは選手にとって最高に喜ばしい瞬間だろう。2020年は6名の選手が初めてトロフィーを掲げている。ATP(男子プロテニス協会)公式サイトが、これからツアーを盛り上げてくれるであろう彼らを特集している。今回から3回にわたって紹介していこう。

 21歳のウゴ・アンベール(フランス)は、2020年年明け、ニュージーランドで開催されたASBクラシックでツアー初の栄冠を手にした。「自分にとっては大きな進歩で、これ以上のシーズンの幕開けは夢にも思っていなかった。でも驚きではない。毎日このために努力しているし、切望していたからね」

 自分より上位ランキングの4名を倒しての優勝で、「素晴らしい選手を相手に5試合良い試合ができたので満足しているよ。対戦した5人のうち4人には以前に負けているから、リベンジのトーナメントだよ」と冗談も出るほどの快進撃だった。

 19年を「ネクストジェンATPファイナルズ」のデビューで締めくくったアンベールは、「とても自信がついた。フランシス・ティアフォー、マイケル・イーマー、ヤニック・シナーと対戦できたことは素晴らしい経験だった」と語っていた。そして、オフシーズンにはフランスの山の中で2週間フィジカルを鍛えて、自身のゲームの基礎の改善に取り組んで臨んだ20年シーズンだった。

 アンベールは今年10月にアントワープで開催された、ヨーロピアン・オープンで2度目の優勝を飾り、今季を自己最高30位で終えている。
 
 2月にブエノスアイレスで開催されたアルゼンチン・オープンで、21歳のキャスパー・ルードは、自身にとってそして母国ノルウェーにとって初のATPツアーのトロフィーを獲得した。「最高の気分だ。ツアータイトルは全ての選手が求めているものだし、夢でもある」と、得意なクレーコートでの結果に興奮していた。

 ルードにとって初めてのツアー決勝戦は、19年のヒューストンでの大会で、クリスチャン・ガリンにフルセットで敗れている。「初めての決勝戦は特別だった。マッチポイントの感覚や、初めて“チャンピオンになるため”に腕を振るという経験ができたからね。その時は負けたので、今年は絶対に勝ちたいと思った。あの経験は今回のタイトル獲得にすごく役に立ったよ」

 オフシーズンには、ラファエル・ナダルアカデミーでトレーニングを積み、ナダルと交流し、「自分のテニスとキャリアに関わってくれるので感謝の気持ちでいっぱいだ」と、充実の準備期間を過ごしたからこその結果のようだ。

 ルードは、20年9月28日にキャリアハイとなる25位に到達。元プロテニス選手の父、クリスチャン・ルードが保持していたノルウェー人最高位の39位を大きく更新した。

■初優勝の決勝スコア
ウゴ・アンベール(フランス)7-6(2) 3-6 7-6(5) ブノワ・ペール(フランス)
キャスパー・ルード(ノルウェー)6-1 6-4 ペドロ・ソウサ(ポルトガル)

文●東真奈美

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