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国内テニス

エナンのスピンをしっかりかけて打つ姿や、練習への姿勢をお手本にした尾崎里紗【プロが憧れたプロ|第16回】

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2021.01.18

元世界1位のエナン(左)とキャリアハイ70位の尾崎里紗(右)。(C)Getty Images、THE DIGEST写真部

元世界1位のエナン(左)とキャリアハイ70位の尾崎里紗(右)。(C)Getty Images、THE DIGEST写真部

 現在、プロとして活躍している選手も、現役を引退してコーチをしている人も、小さい頃には憧れのプロがいたはずだ。【プロが憧れたプロ】シリーズの第16回は、WTA自己最高70位を経験している尾崎里紗に話を聞いた。

   ◆   ◆   ◆

 ジュニアの頃からスピン系のショットで試合を組み立てていた尾崎にとって、憧れと同時に参考になった選手は、元世界1位のジュスティーヌ・エナン。初めて彼女のプレーを見たのは、中学生ぐらいの時で、コーチから見ることを勧められたのがきっかけだった。

「小さいのにすごいなと思いました」とは、尾崎が最初にエナンを見た印象だ。「シャラポワとか他の選手と並んだ時には、小さく見えるのに、プレーしている時は大きく見えました」。エナンは167センチで、女子プロテニス選手の中では小柄。そんな中でパワー負けせずにトップに立った彼女に憧れる日本人女子選手は多かった。

 尾崎は自分が目指すプレースタイルに似ていることから、「スピンで追い出して早く展開する」パターンを見本にしていたと言う。

 フォアハンドの打ち方についても、「すごく重心が低い。コンパクトなテイクバックで重心が低いところから打っていく、あの打ち方をマネしていました」。実際にその点を意識して打つようにしたら、しっかりと身体が使えるようになり、「スピンがかかるし、体重も乗るので重いボールになります」と自分でも変化が実感できた。
 
 生でエナンが打っているのを見たのは、フレンチオープンジュニアに出場した時。会場で自分の練習が終わった際にエナンが練習しているのを発見し、見学することにした。「普通のラリーなんですが、とにかくアウトを気にしないぐらい打っていました。抑えてラリーをせずに、出し切るだけ出して練習するという感じがすごいと思いました」

 この練習への姿勢もさっそく見習った。コーチからも「アウトは気にしなくていい」と言われたこともあり、練習から出し切ることを意識して取り組むようになる。

 エナンの戦い方、打ち方、練習への取り組みを参考して努力を続けた163センチの尾崎は、12年12月にプロ転向。その後は戦い方を試行錯誤する時期もあったが、17年にはマイアミ大会でベスト16入りするなどして、70位にまでランキングを上げた。

 尾崎は今、日本でジュニアの選手とよく一緒に練習している。彼女がエナンから学んだように、今はそのジュニアたちが尾崎の姿から多くのことを学んでいることだろう。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

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