海外テニス

ジョコビッチ批判の声にスペイン人選手が反発「彼は単に選手を助けようとしただけ」〈SMASH〉

中村光佑

2021.01.28

完全隔離選手の待遇改善要求で批判されたジョコビッチ(写真)だが、カレノブスタは「彼のやったことは悪いことではない」と擁護した。(C)Getty Images

 男子テニス世界16位のパブロ・カレノブスタ(スペイン)が欧米スポーツメディア『EUROSPORT』のインタビューに応じ、全豪オープンの隔離措置をめぐって待遇改善を要求した同1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を擁護した。

 今年の全豪では新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、アデレードとメルボルンの二拠点に分ける形で選手全員に14日間にわたる隔離措置を命じている。そうした中、メルボルンでは現地着のチャーター機から新型コロナの陽性者が確認され、濃厚接触と判断された72人の選手が、外出や屋外練習を許されない完全隔離を強いられている。

 そんな状況を見かねたジョコビッチは、トーナメントディレクターのクレイグ・タイリー氏に一通の手紙を送り、できるだけ全選手が平等になるように待遇の改善を要求した。しかしビクトリア州政府は「濃厚接触者に対するルールに変更はないし、変えることもできない」としてこれを却下していた。
 
 一連のジョコビッチの行動については「利己的なもの」「無理な要求」などと批判の声が上がっていたが、カレノブスタは「ノバク(ジョコビッチ)は、完全隔離されている選手がトーナメントの準備をするため平等に扱われることを求めただけで、そういう行動を起こしたのは理解できる。僕はノバクがやったことが悪いとは思わない」とコメント。

 さらにカレノブスタは「彼は単に完全隔離となった選手を助けようとしただけだと思う。彼は情報を集め、いくつかの提案をした上でその手紙を送っていた」とジョコビッチを擁護した上で、「むしろATP(男子プロテニス協会)が、もっと手を差し伸べるべきだったのではないかと思う」と不満を漏らしている。

 トラブル続出の隔離生活も残り1日となったが、中でも完全隔離を強いられた選手のコンディションが気になるところだ。この厳しい状況を選手全員が無事に乗り越え、大会を盛り上げてくれることを期待したい。

文●中村光佑

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