専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

パワーのみならず幅広いテクニックを備えたモーレスモ。精神的にも成長し「無冠の女王」を返上/レジェンドFILE36〈SMASH〉

スマッシュ編集部

2021.01.31

モーレスモのスライスリターンはグリップがやや厚く、ボールに伸びを出しやすかった。トップスピンと混ぜて使うことで、多彩な展開を可能にしていた。写真:スマッシュ写真部

モーレスモのスライスリターンはグリップがやや厚く、ボールに伸びを出しやすかった。トップスピンと混ぜて使うことで、多彩な展開を可能にしていた。写真:スマッシュ写真部

 アメリー・モーレスモは、スケールの大きなテニスができる女子屈指の選手だった。ベースラインでのラリーも、ネットプレーもソツなくこなす彼女は、女子には珍しいオールラウンドプレーヤーと言えた。

 デビュー当初はスピンの強打に偏りがちのプレーだったモーレスモ。しかし、経験を重ねるうちにスライスもうまく使うようになり、展開の幅が広がった。

 また、彼女はフェドカップのフランス代表を10年にわたって務め、通算30勝9敗の記録を残している。真面目で、責任感の強い選手で、それ故に大舞台では重圧にさいなまれることが多かった。長く「無冠の女王」などと呼ばれたが、キャリア後半はメンタル的にも成長し、2006年の全豪オープン、ウインブルドン優勝へとつなげている。
 
 分解写真で紹介したのは、モーレスモのバックハンドスライスでのリターン。このショットを身に付けてから、彼女のプレーは明らかに多彩になった。

 技術的に目を引くのは、スライスとしてはグリップが割と厚めということ。通常はテイクバックで打球面が頭の方を向くが、4~5コマ目を見ると上を向いており、この状態から振り出すとインパクトで面が立って、当たりが厚くなる。打点を前に取れれば伸びのあるボールを打てるのが、厚めのグリップの利点。女子選手が前でボールを押さえ込むのは簡単ではないが、モーレスモは腕力が強いので、それができたのだ。

 ベースラインでのラリーでも、トップスピンとスライスを混ぜて使うことで、相手を翻弄したモーレスモ。パワフルだが、それだけに頼らないプレースタイルが、彼女を成功へと導いた。

【プロフィール】アメリー・モーレスモ/Amelie Mauresmo(FRA)
1979年生まれ。WTAランキング最高位1位(2004年9月)。グランドスラム通算2勝(AUS:06年、WIM:06年)。強力なストロークに加え、スライスやネットプレーも得意とする技巧派オールラウンダー。99年全豪の準優勝でブレークすると、04年アテネ五輪では銀メダルを獲得。同年にフランスの女子選手初となる世界ランキングNo.1に到達した。06年にはGS2勝を挙げ、09年に引退。その後はロドラ、アザレンカ、バルトリ、マリー、プイユらのコーチ、フェド杯フランス代表監督を務めた。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

【PHOTO随時更新】モーレスモをはじめ、サンプラス、アガシらレジェンドの希少な分解写真
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号