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海外テニス

“わずか1名のコロナ陽性者”判明で全豪オープン前哨戦が全て中断!日本では考えられない敏速な措置内容とは〈SMASH〉

内田暁

2021.02.04

大坂なおみが4日に出場するはずだった全豪前哨戦の準々決勝も急きょ中止となった。(C)GettyImages

大坂なおみが4日に出場するはずだった全豪前哨戦の準々決勝も急きょ中止となった。(C)GettyImages

 全豪オープンの前哨戦として、メルボルンパークで開催中のATPおよびWTAツアーの計4大会、そしてATPカップも中盤にさしかかった2月3日(水)の夜10時30分――。

 ビクトリア州首相のダニエル・アンドリュースが、緊急記者会見を開いた。

「グランドハイアットホテルで、隔離プログラムの一員として働いていた従業者から、新型コロナウィルス陽性者が出ました。従事者は1月29日にシフトを終え、陰性の結果を得ました。しかしその後に症状が出たため2月2日に再検査を受け、今日(3日)の夜、陽性結果が出たのです」
 
 この発表と同時に、陽性者がここ3日間で訪れたスーパーマーケットやカフェなどの名前と住所がタイムテーブルと共に公開され、「この時間帯にこれらの場所に居た人は、検査を受け、14日間自主隔離してください」との通達も出された。それら行動範囲は、メルボルン市の中心部から20kmほど離れたエリアである。

 この事態に伴い、グランドハイアットホテルに隔離滞在していた選手や関係者を含む約600人は、“カジュアル接触者”とみなされ、再び隔離状態に入ることに。検査を受け、陰性の結果が出るまで外出しないようにと言い渡されたという。

 アンドリュース州首相は「これらの検査作業は、明日(4日)中に終わるだろう」と公言。それにより「明日行なわれる全豪オープン前哨戦には影響が出るが、現時点では、全豪オープンそのものには影響はないと思われる」とも続けた。
 
 今回見つかったのは1人の陽性ケースであるが、市内感染者ゼロを謳っていたメルボルン市及びビクトリア州へのインパクトは大きい。メルボルン市は今年に入り市内の人々の行動規制を緩めていたが、3日の23時59分をもって、再び「年末の規制に戻す」とも発表。

 具体的には、「屋内でのマスク必須」「個人的な集会の人数上限を、現在の30人から15人に減少」「職場のキャパシティの上限を、来週より75%に引き上げる予定だったが、50%のままに留める」などである。

 また、ビクトリア州から一部の他州への移動にも、検査が必要などの制約が設けられた。
 
 州首相の会見から約3時間後の深夜1時30分頃、テニスオーストラリアは正式に「2月4日にメルボルンパークで予定されていた全ての試合は、キャンセルになります」との声明を発表した。

 それらキャンセルになった試合には、ATPカップの日本対アルゼンチン戦や、大坂なおみのシングルス、青山/柴原組のダブルスなども含まれている。また、5日以降の予定は4日中に公表される予定だ。

現地取材・文●内田暁

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