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海外テニス

ダニエル太郎、久々のツアーベスト4入りの要因はメンタル面の強化?「何かを変えなくては、ここから先には…」<SMASH>

内田暁

2021.04.26

セルビアOPでラッキールーザーから、2018年8月以来のツアーベスト4入りを果たしたダニエル太郎。(C)Getty Images

セルビアOPでラッキールーザーから、2018年8月以来のツアーベスト4入りを果たしたダニエル太郎。(C)Getty Images

「今までの自分のテニスのなかで、一番すごいゲームだったかなって感じています」

 迷いのない口調で、ダニエル太郎は明言した。

 セルビア・オープン準決勝、対マテオ・ベレッティーニ戦。第1セットを1-6で落とし、第2セットもブレークされて迎えた相手サービスの第10ゲーム。敗戦まで3ポイントと追い込まれたその窮状で、彼の言う「すごいゲーム」が訪れた。

 フォアのリターンウイナーで反撃の口火を切ると、果敢にネットに出てボレーを沈める。続いて再びネットで決めると、最後も会心のリターンウイナー。剣が峰で追いつき、もつれ込んだタイブレークを制して第2セットを奪取する。

 第3セットは、連戦の疲労もあり相手に一気に引き離されたが、それでも「トップ10で、フェデラーやナダルにも勝てる選手相手に、疲れていながら最後に自分の力を引き出せたのは自信になった」と言葉に一層力を込めた。

 このベレッティーニ戦に象徴されるように、今大会のダニエルのプレーは、従来とは大きく印象を異にするものだった。ベースラインから下がらず早いタイミングのフォアで打ち合い、ここを勝機と見定めるや、迷いなくネットに出てボレーやスマッシュを叩き込む。

 その変化はダニエル本人が、誰より実感している手ごたえだ。「第2セットの3-5のサービスゲームで、1球2球とフォアでパワフルなショット打った時に、自分の中で炎が燃え上がる感じになった」
 
 それは、これまで独立していた心技体のすべてが、カチリと噛み合った感覚だったという。結合のカギとなったのは、この半年ほど焦点を当て向き合ってきた、メンタル面だ。

 ダニエルがメンタルトレーナーに師事し始めたのは、6か月前のこと。彼女の名は、ジャッキー・リールドン。オランダ・テニス協会で手腕を振るい、最近では水泳選手やオペラ歌手などあらゆるジャンルで指導する、経験豊かな人物だ。

 それまで、メンタル面の強化という理念にさほど共鳴しなかったダニエルが、その必要性を感じたのは、新コーチのスベン・グローネフェルトとの取り組みが大きいという。

「何かを変えなくては、ここから先には行けない」と感じたダニエルが、ロジャー・フェデラーやマリア・シャラポワらのコーチング経験を持つグローネフェルトをコーチに雇ったのが2019年末。相手の時間を奪うラリーなどの技術面を教わると同時に、オフコートも含めた思考法の重要性を説かれ、メンタルのスペシャリストに指導を仰いだ。
 
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