海外テニス

「こんな感じで負けると…」約2か月ぶりの公式戦で無念の初戦敗退したフェデラーが心境を告白<SMASH>

中村光佑

2021.05.19

全仏オープンに向けて不安の残る結果となったが、目標としているのはあくまで芝のシーズンだという。(C)Getty Images

 現地時間5月18日、男子テニスツアー「ジュネーブ・オープン」(5月16~22日/スイス・ジュネーブ/ATP250/クレー)はシングルス2回戦が行なわれ、世界ランク8位で第1シードのロジャー・フェデラー(スイス)は同75位のパブロ・アンドゥハル(スペイン)に4-6、6-4、4-6の接戦の末に敗退。ツアー復帰初戦での白星とはいかなかった。

 フェデラーは今年3月のカタール・オープンで右ヒザのケガから14か月ぶりにツアー復帰を果たしたものの、「トレーニングに集中したい」という理由で再び戦列を離れていた。母国開催の今大会が約2か月ぶりの公式戦で、クレーコートでのプレーは2019年全仏オープン準決勝以来となる。

 開始から両者ともに安定したプレーを見せた試合は、お互いにサービスキープが続く展開に。だが、第10ゲームでフェデラーがストロークのミスを重ねてブレークを喫し、第1セットを落としてしまう。

 第2セットを奪い返し、徐々に流れを掴んだフェデラーはファイナルセットでも第3ゲームで先にブレークに成功。だが、終始堅実なプレーを見せるアンドゥハルに第7ゲームから4ゲームを連取されて力尽きた。

 笑顔を見せながら会場を後にしたフェデラーだったが、直後に行なわれた記者会見では「コートに戻ってこられたのはいいことだけど、こんな感じで試合に負けてしまうと落ち込んでしまうし、決していい気分ではない。(ファイナルセットは)4-3とリードしていたのに、僕はかなり精彩を欠いていた。チャンスはあったんだけどね。今大会の結果にはがっかりしている」と悔しさをにじませた。
 
 それでも最後には、「(ジュネーブで)もっとプレーしたかったのは確かだけど、同時にこれが今の状況なのだから、それを受け入れて前に進むしかない。目標はローランギャロス(全仏)ではなく、芝のシーズンへ向けて状態を戻していくことだから、自分にはまだ時間がある。自分のプレーももっと良くなると思っている」と語り、今後に向けて前向きな姿勢を示した。

 一方、フェデラーとの初対戦を勝利で飾ったアンドゥハルは「僕はただ単に試合のこと、自分のプレーのことを考えて、100%集中するようにしていた」と振り返り、「彼(フェデラー)が復帰したばかりで、まだ最高のテニスができない状況を考慮しても、彼と対戦し、彼に勝ったことはとても感慨深いものがある」と喜びを表現した。

 本人にとっては不本意な結果となってしまったようだが、復帰初戦にしてキレのある動きと持ち味の芸術的なプレーを見せたフェデラーに世界中のファンが魅了されたのは間違いないだろう。次戦の「全仏オープン」(5月30日~6月13日/フランス・パリ/グランドスラム)ではどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、早くも注目が集まっている。

文●中村光佑

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