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海外テニス

「このような生活が続くと精神的には…」東京五輪で採用の“バブル”が与えるテニス選手への影響<SMASH>

内田暁

2021.07.05

隔離された空間に選手らを閉じ込める“バブル”は、感染予防では安全が担保されるものの精神的な負担は小さくない。(C)Getty Images

隔離された空間に選手らを閉じ込める“バブル”は、感染予防では安全が担保されるものの精神的な負担は小さくない。(C)Getty Images

「バブル」という言葉がテニス界で広く使われるようになってから、1年近くが経とうとしている。

 新型コロナ感染拡大の状況下で、スポーツイベント開催の方策としてこの言葉を用いたのは、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)が最初だっただろうか。パンデミックによりシーズンが中断されたNBAは、フロリダ州のディズニーワールドに選手や関係者をすべて集め、外界との接触を一切遮断することで再開した。

 物理的に、周囲を完全に囲う訳ではない。理念と規律で境界線を引く、概念的な孤立空間が「バブル」の正体だ。

 NBAが先鞭をつけたこの手法を踏襲したのが、昨年8月末にニューヨークで開幕した、テニスの全米オープンとその前哨戦である。

 選手たちは会場近くのホテルに宿泊し、2大会を通じて、行動範囲はホテルと会場のみに限られた。その代わり無観客であることを生かし、大会会場には選手がくつろげる場所が多く用意されたという。ゲームセンターやバスケットボールなどの遊技場に、カラオケルーム。食事は、ホテルや会場のレストランで提供されるメニューに加え、日替わりでケータリングカーが訪れた。

 この手法により同大会は、数名の感染者は出たものの、大きなトラブルなく閉幕の日を迎える。以降、規模や規制は大同小異ではあるが、グランドスラムを含むテニスのツアーは、バブル方式により世界各地で開催されてきた。
 
 このように、既にテニス界ではお馴染みとなった感の強いバブルが、今回のウインブルドンで再び話題に上ることが多いのは、これがパンデミック後初のウインブルドンだからだろう。通常この大会では、選手の多くが会場近郊の家を借りて、家族やチームスタッフらと過ごすのが慣例化している。そのためバブルの特異性が、他大会より際立ちやすい。

 また、バブルの強度面においても、今大会はかなり厳格のようだ。全仏オープンでは、選手も1日1時間のジョギングやエクササイズの外出が許されたが、ウインブルドンでは、それもなし。

 基本的にすべての選手が一つのホテルに宿泊するため、レストランに行ってもラウンジに行っても、いるのはテニス選手ばかり。錦織は、「選手村のような雰囲気」だと言い、ヨハンナ・コンタは「すべてが揃っているクルーズ船のよう」と形容した。もっともロンドンに住むコンタにしてみれば、日常生活が戻りつつある町を抜け、ホテルと会場を車で往復するのは奇異な体験。

「会場までは1時間半ほどかかる。その途中で、自分の家の前を車で通過していくのは、とても不思議な感じ」

 開幕前の会見でそう述懐していたコンタは、皮肉にも、自身のチームに陽性者が出たため、濃厚接触者とみなされ出場は叶わぬことに。英国ナンバー1選手の欠場は、未だ新型コロナの脅威が存在することを内外に強く印象付けた。
 
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全仏準優勝者が続くウインブルドンでは初戦敗退に…

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