男子テニスの世界王者、ノバク・ジョコビッチ（セルビア）が東京オリンピックの出場を表明した。

　今季のジョコビッチは２月の全豪、６月の全仏を制覇し、前週まで開かれていたウインブルドンでも優勝。残る東京オリンピックと全米オープンを制した場合、男子選手として史上初の「ゴールデンスラム」（四大大会と五輪制覇）の偉業を達成することになる。

　今夏の東京オリンピックは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により無観客での開催が決定。これを受けてジョコビッチはウインブルドン優勝後の記者会見で「観客がいないのは本当に残念なことだ。東京には行くつもりだったけど、今は（気持ちとしては）五分五分かな」と語り、欠場の可能性も示唆していた。

　そんな中、日本の天才テニス少年で以前から親交の深い尾脇康次郎君が７月15日に６歳の誕生日を迎え、サプライズでメッセージ動画を送っていたジョコビッチは日本時間16日の早朝に自身の公式ツイッターを更新。

　康次郎君へ送ったメッセージ動画を添えた上で、「私の小さな友人、コウジロウを失望させることはできない。僕は東京行きのフライトを予約した。誇りを持ってチームセルビアに参加し、オリンピックに臨む」と英語で綴り、東京大会に出場する意向を示した。
  　また、ジョコビッチは母語のセルビア語でも「東京に向けて荷造りをしている。代表チームの一員として、オリンピックで一番いい色のメダルを目指して戦えることをとても誇りに思う。僕にとって、セルビア代表として試合に出ることは、いつも特別な喜びとモチベーションをもたらしてくれる。ベストを尽くすよ」とツイート。どうやら自身初のオリンピックでの金メダル獲得にも意気込んでいるようだ。

　ロジャー・フェデラー（スイス）やラファエル・ナダル（スペイン）など、数名のトップ選手がケガや感染リスクを理由として出場辞退を表明する中、ジョコビッチの参戦はテニスファンにとっても喜ばしいことだろう。ゴールデンスラムの偉業達成にも大きな期待がかかるだけに、そのプレッシャーは計り知れないが、東京オリンピックの舞台でもジョコビッチらしい堅実なプレーを見せてもらいたい。

文●中村光佑

【PHOTO】名プレーヤー！ノバク・ジョコビッチの今季ウインブルドンほか厳選ショット！