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海外テニス

五輪以降好調の錦織圭、その要因は「変えようと思った」フォアハンド?「年末には30位台に」と意気込みも<SMASH>

内田暁

2021.08.09

ここ最近は特にフォアハンドが好調だ。(C)Getty Imaes

ここ最近は特にフォアハンドが好調だ。(C)Getty Imaes

 連日のメダル獲得に沸く東京オリンピックの熱狂は、すでに、遠い地の出来事だった。

 準々決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れるも、「オリンピック初の、3大会連続でベスト8以上に進んだテニス選手」となった3日後——。錦織圭の姿は、東京から1万キロ離れたワシントンDCにあった。

「(オリンピックで)ベスト4に入ったらこの大会はスキップするつもりだったんですが、負けちゃったので」

 疲れは、当然ある。移動と時差が心身に与えるダメージを思えば、「やめたい気持ちはあった」とも認めた。ただそれ以上に勝ったのは、「ランキング的に出ておきたい」との気持ち。

「思ったより落ちているので、どこでもシードが付くことがなくなった。とりあえず50位、30位……年終わりには30位に入っていたい」

 それが、彼を新たな戦地に駆り立てた思いだった。
 
「こんなに良い感覚でプレーできているのは、2年ぶりだと感じている」

 準々決勝でロイド・ハリス(南アフリカ)をストレートで破った後、錦織はそう口にした。半年前の対戦では、「サーブのコースが読めずに」敗れた伸び盛りの24歳。その相手から好リターンを連発し、ストロークでも圧倒した。
 
 とりわけ、オリンピックから一貫して好調なのが、フォアハンドだ。

「フォアは変えようと思って、ウィンブルドンのあとから、ひたすら振り抜くことを意識して練習しました。それが良かったのか、オリンピックで急に入り始めて。振り切ってみようという練習から、見た目にも違いが分かるくらい、良くなったのかなと思います」

 ツアー内では、安定のバックハンドで畏怖される錦織だが、本人が常に自信の拠り所とし自ら「推す」のは、フォアハンド。その好調のフォアにプレー全体が引き上げられ、心身が鋭敏化したようだ。

「フォア、バックともにミスしないでラリーが長くできている。今年序盤の、ちょっと戻ってきたという感覚とはまた違って、吸い付いてくれるというか、何も考えなくても入ってくれるというか。細かいところで言うと、相手のロブが凄いきわどいところでもアウトになるなと分かったり。細かい感覚が戻ってきました」

 相手の微細な動きから打つコースを読む能力は、トリッキーなプレーを得手とするアレクサンダー・バブリク(カザフスタン)戦でも存分に発揮された。アンダーサーブに素早く反応し、ドロップショットやロブも事前に察知したかのように処理する。

 さらには安定のストロークは、サウスポーの癖玉に対応し逆転勝利をつかんだ、3回戦のキャメロン・ノーリー(イギリス)戦で見ることができた。
 
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