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海外テニス

五輪以降好調の錦織圭、その要因は「変えようと思った」フォアハンド?「年末には30位台に」と意気込みも<SMASH>

内田暁

2021.08.09

2年半ぶりの優勝は逃したが、今後に期待が寄せられる。(C)Getty Imaes

2年半ぶりの優勝は逃したが、今後に期待が寄せられる。(C)Getty Imaes

 ストロークの好調さは、結果的に敗れた、準決勝のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)戦でも継続していたと言えるだろう。

 身長180cmに満たないマクドナルドもまた、驚異のコートカバー力を誇るストローカーだ。中国系アメリカ人としてカリフォルニアで育った彼は、ジュニア時代から、錦織に敬意の目を向けてきた選手でもある。初対戦は、2018年のATPチャレンジャー・ダラス大会決勝。手首のケガから復帰し、再起を期した当時の錦織にとって、最初のジャンピングボードとなった勝利だった。

 その後、ともにケガによる長期ツアー離脱と苦闘を経た両者の足跡は、今大会で3年半ぶりに交錯する。くしくも……というべきか、復帰への過程でよりネットに出る攻撃的テニスを標榜したのも、二人に見られる共通点。そのマクドナルドの超攻撃的なスタイルが、錦織を驚かせた。

「攻撃的なテニスを最初から仕掛けられたので、自分が下がり気味になった」

「想定外」だったというその展開に、錦織がファーストセットを落とす。第2セットも先行された時は万事休すかと思われたが、そこからの逆転劇は好調のストロークのなせる業だ。
 
 第3セットでは、まるで合わせ鏡のように左右に走り、驚異のカウンターを放つ両者の並走状態が続く。ただ最後の最後に勝敗を分けたのは、戦前に「若い脚力を見せるよ」と言っていた5歳年少者のスタミナ。そして、肩に覚えた痛みのため、100%で打つことができなかった錦織のサービス。最後は相手に3本連続で鋭いリターンを放たれ、エンターテインメント性に満ちたフルセット劇に終止符が打たれた。

「勝ちたかった」

 敗戦後の錦織は、そう素直に感情を吐露する。

 ただ、「自分が悪いというより、彼が良いのかなというのは感じました」と相手を称える表情に、悔いの色はない。

 ベスト4への勝ち上がりは、ヒジの手術から復帰した2020年8月以降では初の戦績。

 オリンピックで手のひらに残した好感触を確信に変え、躍進の夏への扉を開いた。

文●内田暁

【PHOTO】五輪で快進撃を見せた錦織圭の厳選ショット!

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