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「40歳になると回復はさらに時間を要する」元世界王者ベッカーが“フェデラーの復帰”に疑問<SMASH>

中村光佑

2021.08.27

過酷なプロの世界を知り尽くすベッカー(右)だけに、フェデラー(左)が直面する壁の大きさがわかるのかもしれない。(C)Getty Images

 男子テニス元世界1位で往年の名テニスプレーヤーとして知られるボリス・ベッカー氏が、欧米スポーツメディア『EUROSPORT』のインタビューに応じ、右ヒザの故障で長期のツアー離脱を発表したロジャー・フェデラー(スイス/世界ランク9位)について言及した。

 2020年に2度の右ヒザ手術を経て、今年3月のカター ル・オープンで約14か月ぶりにツアー復帰を果たしたフェデラー。だが、グラスコートシーズンでケガが再発したため、今夏の東京オリンピックを欠場。以降の出場を予定していた大会も取りやめ、全米についても不透明な状況が続いていたが、日本時間8月15日に自身のSNSで「何か月もツアーから離れることになる」と報告していた。

 ファンや多くの専門家がフェデラーの状態を懸念する中、ベッカー氏はインタビューの中で「彼が再びツアーに戻ってくるかどうかは、本当に大きな疑問だ」とコメント。その根拠については「40歳になると回復にはさらに時間を要することになるからね」と説明した。

 だが、そんなベッカー氏も長らくテニス界を牽引してきたレジェンドの完全復活を願ってやまないようだ。インタビューの最後にはフェデラーに対し、次のようにエールを送った。
 
「彼だけが(復帰への)答えを持っているし、彼だけが(ケガに対する)解決策を持っている。だが、ロジャー・フェデラーという男の残りの人生はまだ先にある。私は何よりもフェデラーが再び元気になることを願っているし、それが最も重要なことだ。彼の残りの人生はまだこれからであり、テニスを再開するかどうかは二の次だ。彼はすでに多くのことを成し遂げており、(再び)誰かに何かを証明する必要もない」

 苦境に立たされる中でも、「何らかの形でツアーに復帰するための希望の光を与えたい」と現役続行への強い意欲を示していたフェデラー。その言葉通り、たとえ時間がかかったとしても、再びコート上で輝く姿を見せてもらいたい。

文●中村光佑

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