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元世界33位のロレンツィが全米オープンでの予選敗退を最後に引退へ「ベストを尽くせて幸せ」<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.08.27

思い入れのある大会でキャリアの最後を飾ったロレンツィ。(C)Getty Images

 男子テニス元世界ランク33位のパオロ・ロレンツィ(イタリア)が、現在開催中の全米オープン予選2回戦でマキシム・ジャンビエ(フランス)に4-6、3-6のストレートで敗退。この試合をもって、約18年間のプロ生活に終止符を打った。

 熱意のこもったプレーと、気さくな人柄で知られるロレンツィはクレーコートを得意としており、2016年のキッツビュールでツアータイトルを獲得。34歳でのツアー初優勝は、1990年以降のATPツアーで最年長記録だった。

 その約1年後にはキャリアハイとなる世界33位に上り詰めたが、年齢のせいもあってかこの2年間はツアーで満足に勝利を上げることができない状態が続いていた。ロレンツィはATPツアー公式サイトのインタビューで、「今年は全てか難しくなっていた。年始にはいくつかケガをしてしまって、自分の身体が以前のようには動いてくれないとわかったんだ」と、引退の理由を明かす。

 ジャンビエとの試合では3つのマッチポイントを凌ぐなど、最後まで諦めない彼らしい姿勢が見られた。「全ての試合で、全てのチャンス、全ての瞬間にベストを尽くして終わりたいと思っていたんだ。良い思い出になればいいなと思うよ」と、キャリアを締めくくる試合を振り返った。
 
 現在フロリダ在住のロレンツィにとって、全米オープンは特別な大会だった。2014年大会でグランドスラム本戦初勝利を上げたロレンツィは、他のグランドスラムでは2回戦以上に進むことはできなかったが、全米オープンでは2017年に4回戦進出。2016年と2019年には3回戦に進んだ。

「ニューヨークで終わりにしようと思っていた。ここに来るたびに幸せな気分になるから、ニューヨークを選んだんだ。不思議な気分だよ。人生の大きなパートが終わってしまった。でも、ベストを尽くせたから幸せだよ。若い頃からプロテニスプレーヤーになることを目指して、それを成し遂げたんだからね」

 引退後のプランについては明確に決めてはいないようだが、テニス界に残ることは間違いなさそうだ。7月のウインブルドン期間中には、『スカイ・イタリア』の番組に出演し、ロジャー・フェデラー(スイス)などにインタビューを実施。11月には、イタリア・トリノでのツアー最終戦で同様の仕事を行なう予定だ。また、コーチとして後進の育成に取り組むことも視野に入れているようだ。

「自分の目標は常に最高のテニスをすることだったから、ニューヨークまでは(プレーに)集中しようと思っていた。今後は何か別の仕事で、自分の情熱を他の全ての人々と共有したい。うまくいくことを願っているよ」

構成●スマッシュ編集部
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