海外テニス

ワクチン否定派だったチチパスが一転して年内の接種を決意「今はそれ以外に可能性はない」<SMASH>

中村光佑

2021.09.22

以前はワクチンが義務化された場合のみ打つと述べていたチチパスだが、「自分の意見は医学的にベストではないかもしれない」と、考えを改めた。(C)Getty Images

 男子テニス世界ランク3位のステファノス・チチパス(ギリシャ)が、年内に新型コロナウイルスのワクチンを接種する意向を表明した。

 ファイザーやモデルナといったワクチンの普及が進んでいるものの、依然として副反応や安全性を懸念し、接種に踏み切れない選手も多数存在する。中でもチチパスは以前からワクチン接種には消極的な姿勢を示しており、今年8月には記者団に対し「競技に参加するためにワクチン接種が義務づけられているわけではないので、接種していない。ワクチンは十分にテストされておらず、副作用もあるからね」とも語っていた。

 その後、これらの発言を受け、母国ギリシャ政府の報道官が「彼にはワクチン接種に関する選択肢を自分で構築するための知識もなければ、学習やリサーチなどの作業もしていない。ワクチンの必要性やワクチンが臨床試験に十分な時間をかけていることを評価する能力に関しては乏しい」とチチパスを痛烈に批判。
 
 これに対し、現地9月20日に母国のニュースメディア『Antenna TV』のインタビューに応じたチチパスは「僕は個人的に(コロナの)予防接種を推進したことはないし、明確に言えば予防接種に反対したこともない。接種したい人を支持する」と弁明した。だがその一方で、世界中で新型コロナの感染拡大に歯止めがかからない中、ワクチン接種に対する考えを改めた部分もあるようだ。

「普通の生活を送っていくためには、今はワクチン接種以外に他に可能性はない。今年の後半にはワクチンを接種するつもりでいる。そうすれば買い物にもレストランにも行ける」

 そして最後に「コロナが収まらない状況は僕だけではなく、みんなを悩ませている。僕たちはそれをポジティブな目で見て、一緒になって考えなければならない」と呼びかけ、インタビューを締めくくった。

 現状ではワクチン接種は義務化されていないため、選手個人の判断に委ねられている。いずれにせよ、一人ひとりがいかにして感染を防いでいくのかを考えなくてはならない。

文●中村光佑

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