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海外テニス

「証明するものも何もない」26歳のキリオスが、そう遠くない“引退”を示唆「嘘をつくつもりはない」<SMASH>

中村光佑

2021.09.27

グランドスラムを取れる才能があると言われていたキリオス。(C)Getty Images

グランドスラムを取れる才能があると言われていたキリオス。(C)Getty Images

 チームヨーロッパとチームワールドに分かれて戦う団体戦「レーバーカップ」(9月24日~26日/アメリカ:ボストン/インドアハードコート)にチームワールドのメンバーとして出場した26歳のニック・キリオス(オーストラリア/世界ランク95位)が、近い将来での現役引退を示唆した。

 チームワールドが1勝3敗とリードを許す中で迎えた大会2日目にキリオスはステファノス・チチパス(ギリシャ/3位)と対戦し、ストレートで敗退。ジョン・イズナー(アメリカ/22位)と組んだダブルスでも敗れ、結果的にチームワールドも通算1勝で大会を終えた。なお、チームヨーロッパは大会4連覇を達成した。

 現地9月25日に行なわれた記者会見に出席したキリオスは初めに「これ(レーバーカップ)が僕の今年最後のイベントだ。家に帰らなければならない」として、2021年シーズンの終了を発表。その理由については「母の健康状態があまり良くないから、故郷のオーストラリアへ会いに行きたいと思っているんだ」と説明した。

 類まれな才能を持つキリオスは19歳でトップ50入りを果たし、その1年後には自己最高の13位を記録。ATPツアーでも通算6勝をマークしている。破天荒な性格からテニス界では「悪童」とも称されているが、その一方でコート上では度々トリッキーなプレーを繰り出し、多くのファンを魅了してきた。
 
 だが、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響から出場を辞退する大会も増えており、今年7月のウインブルドン以降は出場した6試合でわずか1勝にとどまっている。そのような状況もモチベーションの低下につながっているのか、キリオスは「今の自分は、ポイントを狙ったり、称賛を求めたりするような選手ではないと感じている。自分に証明するものも何もないと感じているんだ」と苦しい胸の内を明かした。

 また、キリオスはレーバーカップへの出場について「今年が最後だと思う」とした上で、間もなく現役を引退する可能性があることも認めている。

「ベストを尽くすつもりだけど、あと4、5年はツアーでプレーするつもりだなんて、嘘をつくつもりはないんだ。(もうすでに)自分が達成したことをとても誇りに思っているよ」

 現時点でキリオスは来年1月の全豪オープンへの参戦を予定しているが、その後は「長期的にどうするかを検討する」という。テニスファンからも絶大な人気を誇るだけに、彼の今後の動向には注目が集まりそうだ。

文●中村光佑

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