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ワクチン否定派だったルブレフが全豪出場に向けて接種を決意「検疫なしで参加したいなら打たないと」<SMASH>

中村光佑

2021.10.21

今年の全豪オープンでは自己最高のベスト8をマークしたルブレフ。来年の出場に向け、ワクチン接種を受け入れる考えを示した。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「クレムリン・カップ」(10月18日~25日/ロシア:モスクワ/室内ハードコート/ATP250)に第1シードで出場するアンドレイ・ルブレフ(ロシア/世界ランク6位)が大会開幕前のインタビューに応じ、来年1月の全豪オープン開幕までに新形コロナウイルスのワクチンを接種する意向を示した。

 全豪の開催地メルボルンがあるオーストラリアのビクトリア州では、新型コロナウイルス感染拡大の防止目的で、選手へのワクチン接種義務化を課す可能性が高まっている。現地10月19日にはダニエル・アンドリュース州首相が「ワクチン未接種の選手がオーストラリアに来るためのビザを取得できる可能性は低い。仮に取得できたとしても、おそらく数週間の隔離生活を送らなければならない」と発言。

 程なくしてオーストラリア政府移民相のアレックス・ホーク氏も同国のラジオ番組で「オーストラリアに入国するにはワクチンを2度受けておく必要がある。これはテニス選手だけに対する措置ではない」とコメント。全豪に出場するためには、やはりワクチンの接種が必要となりそうだ。
 
 実は以前、ルブレフは「ワクチン接種をしても特に良いことがあるわけじゃない。選択権があるなら、打つつもりはない」として、接種には消極的な姿勢を示していた。だが、全豪出場へ向け、ルブレフは一転して「僕はワクチンを打つよ」と表明した。

 また、ルブレフは接種を決断した経緯について「オーストラリアの現状は、もし選手が検疫なしで参加したいなら、ワクチン接種をしなければならないからね。それ(接種)を望まない人は大会を欠場することになる」と説明している。

 オーストラリアでのワクチン接種義務化は、選手間で全豪の出場可否に大きな影響を及ぼすかもしれない。同大会最多9度の優勝を誇る世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は接種義務化に反対の意向を示しており、先日には「メルボルン(全豪)でプレーするかどうかはわからない」と2022年大会への欠場も示唆していた。

 ちなみに同国の日刊新聞『The Age』紙によると、現段階ですでに2度のワクチン接種を終えている選手は男子で35%、女子で40%程度にとどまっているという。全豪開幕まで残り3か月、それぞれの選手が最終的にどのような判断を下すのか注目したいところだ。

文●中村光佑

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