海外テニス

“獲得タイトルは5個!”ダブルスの青山修子/柴原瑛菜が世界ランク5位で充実のシーズンに幕!<SMASH>

内田暁

2021.11.20

四大大会に次ぐグレードを誇るマイアミ・オープン(写真)を含め、青山修子/柴原瑛菜は今季5つのダブルスタイトルを手にした。(C)Getty Images

 まったく同じ両者の"ランキングポイント"が、ピタリと肩を並べ走った、この1年の足跡を浮き彫りにする。
 
 青山修子と、柴原瑛菜。それぞれのダブルスランキングは5位タイで、ペアとしての今季レースでは2位。上位8チームのみが参戦できる"WTAツアーファイナルズ"にも出場し、ベスト4で今シーズンの掉尾を飾った。

「プロになって初めて、フルシーズンでツアーをまわれて。それが青山さんとでうれしくて」

 今季を振り返る柴原は、そう言い顔をほころばせる。

 強豪UCLAを休学し、プロ転向を決意したのが3年前。「前から組んで欲しいと思っていた」と尊敬する青山に送り続けたラブコールが、2019年の夏に実った。

 組んだ直後から二人は次々に結果を残すも、昨年はコロナ禍で半年近くツアーは中断。その間、柴原は拠点の米国カリフォルニア州に留まったが、昨年末は日本に滞在し、青山と練習を重ねて今季に備えた。

 全豪オープン前の2週間は、感染症対策のため二人だけでの練習を強いられたが、その制約もまた、公私ともに互いを知るうえでプラスに働いたようだ。

 今季、二人が勝ち取ったタイトルは5つ。そのなかには、柴原が「一番うれしかった」と振り返るマイアミ・オープン(WTA1000)の優勝も含まれる。

「けっこうアップダウンもあったけれど、最後の最後に良かったです」

 WTAファイナルズで終えた今季を振り返り、23歳は表情に充実感をにじませた。
 
 既にプロ10年のキャリアを誇る青山にとっても、1年を通じ同じパートナーのみと組んだのは、初めての経験だ。どの国の、いかなる選手と組んでも一定の戦果をあげられるのが、ダブルスプレーヤー青山の美徳ではある。

 ただ、真に頂点を狙うには、固定パートナーが必要だとも感じていた。

 その時にアメリカから現れた柴原との邂逅は、青山にとっても幸福な出会いだっただろう。二人の最大の強みは「コミュニケーション力」だと、青山は再三繰り返してきた。試合前後はもちろん、試合中でも気になる点があれば、二人はすかさず言葉を交わす。

「アオさん、私のポーチに出るタイミング、どう思いますか?」

 プレー直後に助言を求めてくる柴原に、青山は試合の状況やパートナーの精神面等に配慮しつつ、その時々で最適な言葉をかけていく。

「WTAファイナルズに出場できたことも含め、柴原選手と組んで結果が出せた。なので、まずはパートナーの瑛菜ちゃんに感謝したい」

 今季を振り返る青山もまた、真っ先に柴原への感謝を口にした。
 
NEXT
PAGE
来季の二人は常に一緒ではなくなる?