2021年最終ランキング1位となった男子テニスのノバク・ジョコビッチ(セルビア)。グランドスラムも全豪、全仏、ウインブルドンを制して、フェデラーとナダルが持つグランドスラム最多優勝回数20回に並んだ。
ジョコビッチの守備力が高いバックハンドについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。
* * *
ジョコビッチの優れている部分の1つとして、身体のバネがあるスプリント力が挙げられます。移動する時も上体の力は抜けていて、左腕もうまく使ってバランスが取れています。
ジョコビッチ得意のオープンスタンスで打つバックハンドは、軸足の左足がポイントです。まず、左足を大きく踏み出しますが、これを自然にできる人は少ない。股関節の柔軟性があるからこそ可能であり、このショットを打つ際は、この股関節を意識してパワーを出していきます。股関節を中心にしてスイングするので、パワーが出て、身体のブレも抑えられます。
フルオープンスタンスの状態にもかかわらず、腕の力が抜けているため、ラケットの出が遅れています。インパクトに向けてグリップを握っていくのですが、握り込みを遅くしているぶん、ラケットが鋭く走りボールの飛びが良くなるのです。加えて、打った後に右足で着地をすると、左足の地面からの蹴りが強くなり、リカバリーが早くなりなります。
若手が台頭してきている中で、ジョコビッチはトップを死守しています。若手のパワーにどう対抗しているかといえば、試合展開の予測力の良さです。この予測力が天下一品で、相手がどのような戦術でこようとしているかを、最初の3ゲームでほぼ把握していくのです。サービスのコースやストローク戦での配球を見抜いて、主導権を握っていくジョコビッチは、2022年シーズンも強いでしょう。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】股関節の柔軟性がパワーを生む、ジョコビッチのバックハンド
ジョコビッチの守備力が高いバックハンドについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。
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ジョコビッチの優れている部分の1つとして、身体のバネがあるスプリント力が挙げられます。移動する時も上体の力は抜けていて、左腕もうまく使ってバランスが取れています。
ジョコビッチ得意のオープンスタンスで打つバックハンドは、軸足の左足がポイントです。まず、左足を大きく踏み出しますが、これを自然にできる人は少ない。股関節の柔軟性があるからこそ可能であり、このショットを打つ際は、この股関節を意識してパワーを出していきます。股関節を中心にしてスイングするので、パワーが出て、身体のブレも抑えられます。
フルオープンスタンスの状態にもかかわらず、腕の力が抜けているため、ラケットの出が遅れています。インパクトに向けてグリップを握っていくのですが、握り込みを遅くしているぶん、ラケットが鋭く走りボールの飛びが良くなるのです。加えて、打った後に右足で着地をすると、左足の地面からの蹴りが強くなり、リカバリーが早くなりなります。
若手が台頭してきている中で、ジョコビッチはトップを死守しています。若手のパワーにどう対抗しているかといえば、試合展開の予測力の良さです。この予測力が天下一品で、相手がどのような戦術でこようとしているかを、最初の3ゲームでほぼ把握していくのです。サービスのコースやストローク戦での配球を見抜いて、主導権を握っていくジョコビッチは、2022年シーズンも強いでしょう。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】股関節の柔軟性がパワーを生む、ジョコビッチのバックハンド