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海外テニス

【全豪オープン予選】日比野菜緒が20歳の新鋭に快勝し本戦入りに王手!「終始冷静だった」プロ生活10年のメンタリティ<SMASH>

内田暁

2022.01.12

全豪予選2回戦に勝利し、本戦まであと1つに迫った日比野(中央)。竹内映二コーチ(左)、長田光生トレーナー(右)と。写真:内田暁

全豪予選2回戦に勝利し、本戦まであと1つに迫った日比野(中央)。竹内映二コーチ(左)、長田光生トレーナー(右)と。写真:内田暁

 スコアほどに、一方的な展開ではなかったかもしれない。

 ブレークしたゲームはほぼ全て、長いデュースの末にもぎ取ったもの。第1セットの中盤では、相手にブレークを許し流れを手放しかけた場面もあった。

 だが試合が終わってみれば、ブレークされたのはこの1ゲームのみ。相手に一度もリードを許すこともなく、手にしたチャンスはことごとくモノにする。粘り強いイタリアの20歳相手に、日比野菜緒がその上を行く粘り強さと勝負強さを発揮して、全豪オープンテニス予選の2回戦で貫録の勝利を手にした。

 昨年末は手首の炎症などに苦しんだ日比野が、今季はスタートから心身の充実が伺える。

「目の前のポイントに集中し、全てを出し切ることを目標にしています。試合では何が起きるかわからないけれど、それに対応できるだけの経験は積んできました」

 試合後に口にした言葉に、プロ生活10年の矜持が滲んだ。

 この日の試合で「経験」が最も発揮されたのは、第1セット4-0とリードしたところから、4-2に追い上げられた場面だろう。ここで相手にキープされれば、それこそ「何が起きるかわからない」局面。その分水嶺たりえるゲームをブレークし、勝利への流れを自ら生んだ。
 
「あの時は、ミスの理由を自分で考え、ちゃんと処理できました」。件の場面での心境を、日比野は明瞭に述懐する。

「4-0となったところで緊張し、ポジションを下げてしまっていた。4-2となった時に、もう一度タイミングを早めて打つことを心掛けました」

 20歳の子に負けられませんから――そう言い27歳は、相好を崩した。

 試合を通し「終始冷静だった」という日比野のメンタリティを支えたのは、「オフシーズンに追い込んだ」ことで仕上げた、フィジカルへの自信でもあるだろう。

 さらにはもう一つ、「良いウォームアップ」も勝利の背景にあったようだ。ウォームアップの相手を務めたのは、同じく予選に参戦している本玉真唯。「ミスなくラリーが続くので、アップで疲れそうでした」と苦笑するほどの打ち合いがあったからこそ、実戦でもロングラリーを制したのだろう。

 なお本玉は、明日が予選2回戦。日比野は自分の試合はないものの、日比野自ら、本玉のウォームアップ相手を申し出たという。

 試合で自らの経験を生かし、後進にはその経験を伝えながら、戦い慣れたグランドスラム本戦の舞台を目指す。

◆女子シングルス予選2回戦の結果(1月12日)
日比野菜緒(日本)[15] 6-2 6-1 ザベッタ・コッチャレット(イタリア)

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】日比野菜緒のフォアハンドの強打、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
 

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