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国内テニス

思い込みを捨てスローハードを選択肢に加えよう。伊達公子さんが日本テニス界の未来を熱弁<SMASH>

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2022.01.11

「砂入り人工芝の方が身体の深部が疲れる」と自身の感覚を伝える伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

「砂入り人工芝の方が身体の深部が疲れる」と自身の感覚を伝える伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 日本テニス界のレジェンド、元世界4位の伊達公子さんが、『コートサーフェス研究 砂入り人工芝ではトップテニスプレーヤーは育たない』(東洋館出版社、2,530円)を出版した。その発売記念オンラインイベントで、坂井利彰氏と「日本テニス界の未来」について語ったので、その内容を紹介しよう。

 現在のテニス界はパワー&スピード化が進んでいる。小柄な日本人選手にとって上位を目指すにはより難しい状況になっており、日本育ちで世界ツアーを戦える選手がなかなか現れていないのが現状だ。

 その要因の1つが、日本では国際大会では使用されない「砂入り人工芝」のサーフェスで育っているからだと伊達さんは指摘する。砂入り人工芝は、弾道が低くなる、滑りやすい、砂の量によってボールが速くなったり遅くなったりと均等ではないとのこと。

「相手を動かしたら、相手は戻ってこられないので、それでポイントが取れてしまいます。自分で試合を組み立てる力が養われません。打点が低くなるので空間認識力も低下します」とデメリットを挙げる。

 加えて、「日本人の身体は大きくないので、俊敏さがアドバンテージになることが多い。そこをどうやって極めていくかは重要です」と、伊達さんは武器にできる可能性があるフットワークを磨くためにもハードやクレーでの練習が欠かせないと言う。
 
 伊達さん本人は、幼少期にレッドクレー、ハードコート、高校ではクレーとハードコートで育ってきており、選手育成に最適とされるハードコートとレッドクレーのハイブリッド経験者である。

 とはいえ、テニスを楽しむ一般プレーヤーにとっては、足腰に優しいと言われている砂入り人工芝で問題ないと思いがちだ。この点についても伊達さんは新しい視点を提案した。

 ハードコートでも色々と種類があり、昔の硬いハードコートとは違い、現在はスローハードというクッション性の高いものがあると言う。そして、疲労について自身の感覚では「砂入り人工芝の方が、身体の表面的な部分ではなく深部に疲れが溜まります。スローハードの方が表面的な張りは出ますが、それはある程度短い時間で回復できます」と言う。

 砂入り人工芝とスローハードの疲労に関する比較データはないため、実際のところは不明だが、思い込まずに柔軟に考えてもいいかもしれない。砂入り人工芝のコートがそろそろ改修時期ならば、スローハードという選択肢もあることは知っておこう。

文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

【PHOTO】世界4位にまで上り詰めた伊達公子のキャリアを写真で振り返り!

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