海外テニス

大坂なおみ、全豪3回戦敗退でランキング急降下確定も「今はとてもポジティブな気分なの」と笑顔を浮かべる理由<SMASH>

内田暁

2022.01.22

前年優勝のポイントを失った大坂は大会終了後にランキングを大きく下げるが大坂本人はそれ以上の精神的な落ち着きを手に入れたようだ。©Getty Images

 広いインタビュールームの席に座る彼女は、ときおり、笑みさえ浮かべていた。

「外界を遮断するために付けている」と告白していたヘッドホンも、首元に見当たらない。

 6-4、3-6、6-7(5)の大接戦の敗戦から、約30分後の会見。敗戦を振り返る大坂なおみは、「やれることは、全てやった」と、穏やかに言葉をつむいだ。

 全豪オープン3回戦で対戦するアマンダ・アニシモワを、大坂は戦前から、危険な相手と踏んでいただろう。14歳でグランドスラム予選に出場し、17歳の時には、全仏オープンでベスト4へと駆け上がった早熟の女王候補。ここ2年ほどは足踏みの時が続いたが、潜在能力の高さは誰もが認めている。名コーチのダレン・ケイヒルをコーチに招いた今季は、開幕戦のWTAツアーで優勝し、連勝街道疾走の最中で迎えた、両者の初顔合わせだった。

 初めての選手と対戦する時、大坂は事前に得る情報を「鵜呑みにしないようにしている」という。大坂と対戦する時、多くの選手は、「速く攻めリスクを負った、いつもと違うプレーをしてくる」から。加えて、その選手の打つボールの質やスピードも、実際に受けてみることでしかわからない、精緻な身体感覚だ。
 
 実際にアニシモワと対峙した時、大坂は「驚いた」と認めている。

「凄く強かったり、重いというのも違うけれど……ものすごく早く返ってくるので、備える時間が無かった」

 それが、大坂が覚えた「驚き」の内訳だ。大坂の強打に一歩も引かず、ネットすれすれの強打で真っ向勝負を挑む20歳の姿には、並々ならに覚悟がみなぎる。打ち合うごとに加速する超ハイペースのストローク戦を、大坂は「テーブルテニス(卓球)風テニス」と表現した。

 加えて大坂を苦しめたのが、アニシモワのリターンである。第1セットこそ大坂のサーブ力が上回るも、ゲームが進むにつれ、タイミングとコースを読んだかのように、アニシモワのリターンがコートに刺さった。

 セットを分け合い走り込んだファイナルセットでは、両者激しく肩をぶつけ合うかのような、並走状態が続く。ゲームカウント5-4のアニシモワのサービスゲームでは、大坂が2本のマッチポイントをつかみもした。だがこの局面で大坂は、いずれもやや力んだバックの強打をネットにかける。結果的には、好サーブを連発したアニシモワが窮状を切り抜けた。
 
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ぎりぎりの勝負で敗れた大坂だが…