昔のテニスラケットは同一モデルの中にも重量違いがあって、「ヘビー」「ミディアム」「ライト」「スーパーライト」などと表示分けされていました。でも今は違います。
例えばバボラ「ピュアドライブ」ならば『ツアー』『チーム』『ライト』といったラインナップがあり、それぞれが1ウェイト設定です。カタログには「平均○○g」「○○g±○g」と表記されます。一般にこれを“シリーズ”とか“ファミリー”と呼び、大まかには重さの違いを表していると考えてください。
多く存在するのは「ライト」です。これは言葉自体から「軽いやつ」ということがわかります。そして「プロ」という名前が付いたのは「重いやつ」という連想ができます。まあ『チーム』となると重量設定的にどの位置にあるのか、ちょっと戸惑いますが、一度わかってしまえば問題ないでしょう。
では、同シリーズで320グラムと270グラムのモデルがあった場合、その50グラムは一体何が違うのでしょう?
フレーム重量の内訳の例を挙げると、総重量320グラムのフレームのうち、ヘッドバンパーやグリップの各部品、塗装、バランス調整用の鉛など、全ての付属物が130グラムもあります。つまりカーボンだけのフレーム本体はたった190グラムなのです。
270グラムのモデルでも、付属物130グラムは同じですから、フレームを裸にすると140グラム。本体は総重量の半分くらいしかありません。
2本の違いは190:140。この重量レベルでの50グラムの差はすごく大きいですよね。これだけ違えば、カーボンの積層数も随分と違っていますから、同じシリーズでもまるで違うラケットと考えるべきなのです。
また完全に名前が同じ同モデルでも、実は個体によってバラツキがあります。「平均○g」や「±○g」というカタログ表記は、そのバラツキを示すもの。同一モデルでも実測してみると、一番重いものと一番軽いものでは、だいたい15グラムほどの差があるのです。内部構造的には全く同じ設計のはずですが、製造上の問題で誤差が生じてしまうわけです。
誤差範囲が15グラムもあれば、かなり打球性能は違うはずですから、間違っても「同一モデルならば、重さが異なっても打球性能は同じはず」と思い込まないでください。
こうなると何の表示をアテに購入すればいいのかわからなくなりますが、もし可能ならば、同一モデルを数本試打して、自分にとってベストだった1本の重量を測り、ショップに置いてあるウェイト計測器でそれに近い重量(ストリング分の重さは引いて)を探すのが理想です。わざわざショップへ足を運ぶのは面倒ですけど、大切なラケットですから慎重に選びたいですね。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2020年5月号より抜粋・再編集
【PHOTO】ボールがつぶれ、ラケットフェイスがたわむ! トッププロのインパクトの瞬間
例えばバボラ「ピュアドライブ」ならば『ツアー』『チーム』『ライト』といったラインナップがあり、それぞれが1ウェイト設定です。カタログには「平均○○g」「○○g±○g」と表記されます。一般にこれを“シリーズ”とか“ファミリー”と呼び、大まかには重さの違いを表していると考えてください。
多く存在するのは「ライト」です。これは言葉自体から「軽いやつ」ということがわかります。そして「プロ」という名前が付いたのは「重いやつ」という連想ができます。まあ『チーム』となると重量設定的にどの位置にあるのか、ちょっと戸惑いますが、一度わかってしまえば問題ないでしょう。
では、同シリーズで320グラムと270グラムのモデルがあった場合、その50グラムは一体何が違うのでしょう?
フレーム重量の内訳の例を挙げると、総重量320グラムのフレームのうち、ヘッドバンパーやグリップの各部品、塗装、バランス調整用の鉛など、全ての付属物が130グラムもあります。つまりカーボンだけのフレーム本体はたった190グラムなのです。
270グラムのモデルでも、付属物130グラムは同じですから、フレームを裸にすると140グラム。本体は総重量の半分くらいしかありません。
2本の違いは190:140。この重量レベルでの50グラムの差はすごく大きいですよね。これだけ違えば、カーボンの積層数も随分と違っていますから、同じシリーズでもまるで違うラケットと考えるべきなのです。
また完全に名前が同じ同モデルでも、実は個体によってバラツキがあります。「平均○g」や「±○g」というカタログ表記は、そのバラツキを示すもの。同一モデルでも実測してみると、一番重いものと一番軽いものでは、だいたい15グラムほどの差があるのです。内部構造的には全く同じ設計のはずですが、製造上の問題で誤差が生じてしまうわけです。
誤差範囲が15グラムもあれば、かなり打球性能は違うはずですから、間違っても「同一モデルならば、重さが異なっても打球性能は同じはず」と思い込まないでください。
こうなると何の表示をアテに購入すればいいのかわからなくなりますが、もし可能ならば、同一モデルを数本試打して、自分にとってベストだった1本の重量を測り、ショップに置いてあるウェイト計測器でそれに近い重量(ストリング分の重さは引いて)を探すのが理想です。わざわざショップへ足を運ぶのは面倒ですけど、大切なラケットですから慎重に選びたいですね。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2020年5月号より抜粋・再編集
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