海外テニス

イタリア旋風の主役、ベレッティーニってどんな選手? ジョコ、フェデラーに挑んだATPファイナルズ

井山夏生

2019.11.13

ベレッティーニ(左)はフェデラー(右)に敗れてラウンドロビン敗退が決まる。(C)Getty Images

 2019ツアーの最終盤、上海マスターズ、そしてウィーン大会でベスト4。540ポイントを稼ぎ8番目のプレーヤーとして「Nitto ATPファイナルズ」に飛び込んできたのが、イタリアのベレッティーニだった。
 ベレッティーニが最終戦に顔を出すなど誰が予想しただろうか? 2019年をスタートした時のランキングは54位。2018年はチャレンジャーを主戦場としていた男が1年で急成長。ファイナル8を戦っているのだ。
 それにしても最近のイタリア男子選手の充実ぶりには目を見張る。19年11月11日付のランキングで100位以内に名を連ねている選手は8名に上る。

マテオ・ベレッティーニ(8位)
ファビオ・フォニーニ(12位)
ロレンゾ・ソネゴ(52位)
マルコ・チェッキナート(72位)
アンドレアス・セッピ(73位)
ステファノ・トラバグリア(83位)
ヤニック・シナー(96位)
サルバトーレ・カルーゾ(98位)

 イタリアと言えば、これまで活躍が目覚ましかったのは女子選手の方だった。スキアボーネ、ペネッタ、ビンチ、エラーニの4人は強烈な布陣で、彼女らは2006年から2013年の間に4度のフェドカップ・チャンピオンに輝いている。そうした黄金時代をこれからの男子勢が迎えようとしているのだ。
 
 何と言っても大きな存在が23歳のベレッティーニだ。ウインブルドンでベスト16。USオープンではベスト4まで進出。長年イタリアを牽引してきたフォニーニをあっという間に抜いてツアー最終戦まで駒を進めた。

 196センチ、95キロの巨躯から打ち出すボールのスピードは驚異的だ。「ビッグフォアとビッグサービスは標準装備」と言われるのが男子テニスだが、ベレッティーニのフォアはその中でもちょっと規格外。また、肩幅が広くスピードが出やすい体型で、ファーストサービスは軽く220キロを超える。プレーとしてはデルポトロをさらに攻撃的にしたイメージと言えばわかりやすいだろう。

 ATPファイナルズでは、ジョコビッチ、フェデラー、ティームと同じブロックとなって苦しんだベレッティーニ。ジョコビッチには2-6、1-6と完敗し、フェデラーには6-7(2)、3-6で振り切られ、力をアピールし切れないままラウンドロビン敗退が決まったが、最終戦初出場なら舞い上がっても仕方がない。

 このATPファイナルズは2021年からはイタリア・トリノでの開催が決まっている。ベレッティーニはこれからさらに力を付けるだろうし、フォニーニは円熟期を迎える。また「Next Gen ATPファイナルズ」を制した18歳の超新星シナーの台頭もある。そうしたタイミングで最終戦の開催権獲得。ますます勢いに乗りそうなイタリアテニスだ。

文●井山夏生(フリーライター)
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