現地時間4月20日、テニス四大大会の一つである「ウインブルドン」(6月27日~7月10日/イギリス・ロンドン/芝/グランドスラム)が、ロシアのウクライナ侵攻を受け、同大会からのロシア・ベラルーシ選手の除外を正式に発表した。この決定に不服を唱えたのが、ロシア国籍で男子世界8位のアンドレイ・ルブレフだ。
現在24歳のルブレフは以前から「世界の平和がいかに大切か、何があってもお互いを尊重し、協力していくことが大事だ」と強く反戦の意を示してきた。優勝を飾った2月のドバイ選手権では準決勝終了直後に中継カメラへ「NO War Please(お願いだから戦争はやめて)」とサインしたのはファンの記憶にも新しい。
現在開催中の男子テニスツアー「セルビア・オープン」(4月18日~24日/セルビア・ベオグラード/クレーコート/ATP250)の2回戦で予選勝者のイリ・レヘチュカ(チェコ/93位)を逆転で下し、準々決勝へと駒を進めたルブレフ。
試合後の記者会見でロシア選手のウインブルドン出場禁止について問われると、「その件に関してはもうすでに声明を出していて、その質問には二度と答えたくない。まず第一に自分は政治には無関心な人間なんだ。何も知らないし、ニュースを読んでいない。僕はテニスに一生懸命だから、何も細かくは追っていないんだ」としつつ、「だからここでもう一度自分の考えを示そうと思う」と切り出した。
そして「何人かの選手とウインブルドン(の主催側)とで電話をして、現状や解決策について話し合った」と告白したルブレフは、自身の率直な意見をこう述べた。
「正直なところ、彼らが我々を排除する理由は……筋が通っていない。彼らが提案していることに論理はない。例えば、ロシアやベラルーシの選手を追放しても、それで50%の支持を得られるとか、変革につながるなら理解できる。でもそれでは何も生まれないし、何も変えられない。今起こっていることは、我々に対する絶対的な差別だ」
続けてルブレフは「ウインブルドンに提案したのは、今回の決定がちゃんと意味を成していることだ。彼らがそれについて考えてくれることを望んでいる。少なくとも我々がプレーしたいかしたくないかは選択できるようにしてほしい」ともコメント。最後には「もっと別のやり方があるのではないか」として以下のように提言した。
「大会でプレーし、もし賞金を全て人道支援基金に寄付する、苦しんでいる家族や子どもたちのために寄付する、という宣言に署名しなければならないのなら、僕たちはそうするよ。少なくとも何か貢献できると思う。
英国政府が平和を望んでいることも、そのための決断を下すつもりであることも実証できるはずだ。その金額を計算すれば、100万ポンドになるかもしれない。他のスポーツでは2か月で集められない金額だと思う。だから、テニスがそういう金額を寄付する最初で唯一のスポーツであると示せるし、ウインブルドンを通じてそれを行なうことになる」
テニス界にも訪れた「ロシア外し」の波。果たしてルブレフの願いは届くのだろうか。
文●中村光佑
【PHOTO】ルブレフ、メドベージェフらウインブルドン2021で活躍した男子選手たち
現在24歳のルブレフは以前から「世界の平和がいかに大切か、何があってもお互いを尊重し、協力していくことが大事だ」と強く反戦の意を示してきた。優勝を飾った2月のドバイ選手権では準決勝終了直後に中継カメラへ「NO War Please(お願いだから戦争はやめて)」とサインしたのはファンの記憶にも新しい。
現在開催中の男子テニスツアー「セルビア・オープン」(4月18日~24日/セルビア・ベオグラード/クレーコート/ATP250)の2回戦で予選勝者のイリ・レヘチュカ(チェコ/93位)を逆転で下し、準々決勝へと駒を進めたルブレフ。
試合後の記者会見でロシア選手のウインブルドン出場禁止について問われると、「その件に関してはもうすでに声明を出していて、その質問には二度と答えたくない。まず第一に自分は政治には無関心な人間なんだ。何も知らないし、ニュースを読んでいない。僕はテニスに一生懸命だから、何も細かくは追っていないんだ」としつつ、「だからここでもう一度自分の考えを示そうと思う」と切り出した。
そして「何人かの選手とウインブルドン(の主催側)とで電話をして、現状や解決策について話し合った」と告白したルブレフは、自身の率直な意見をこう述べた。
「正直なところ、彼らが我々を排除する理由は……筋が通っていない。彼らが提案していることに論理はない。例えば、ロシアやベラルーシの選手を追放しても、それで50%の支持を得られるとか、変革につながるなら理解できる。でもそれでは何も生まれないし、何も変えられない。今起こっていることは、我々に対する絶対的な差別だ」
続けてルブレフは「ウインブルドンに提案したのは、今回の決定がちゃんと意味を成していることだ。彼らがそれについて考えてくれることを望んでいる。少なくとも我々がプレーしたいかしたくないかは選択できるようにしてほしい」ともコメント。最後には「もっと別のやり方があるのではないか」として以下のように提言した。
「大会でプレーし、もし賞金を全て人道支援基金に寄付する、苦しんでいる家族や子どもたちのために寄付する、という宣言に署名しなければならないのなら、僕たちはそうするよ。少なくとも何か貢献できると思う。
英国政府が平和を望んでいることも、そのための決断を下すつもりであることも実証できるはずだ。その金額を計算すれば、100万ポンドになるかもしれない。他のスポーツでは2か月で集められない金額だと思う。だから、テニスがそういう金額を寄付する最初で唯一のスポーツであると示せるし、ウインブルドンを通じてそれを行なうことになる」
テニス界にも訪れた「ロシア外し」の波。果たしてルブレフの願いは届くのだろうか。
文●中村光佑
【PHOTO】ルブレフ、メドベージェフらウインブルドン2021で活躍した男子選手たち