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6時間も集中力は持続するのか?スポーツ心理学の権威博士が独自解説!「全細胞が勝利を欲して意欲が薄れない」【Part2】<SMASH>

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2022.04.26

2012年全豪オープン決勝のジョコビッチ対ナダルの歴史的な試合をメンタルの視点からレーヤー氏に話してもらった。(C)Getty Images

2012年全豪オープン決勝のジョコビッチ対ナダルの歴史的な試合をメンタルの視点からレーヤー氏に話してもらった。(C)Getty Images

 メンタル面に関する話題が多く持ち上がっている昨今のスポーツ界。そこでテニス雑誌スマッシュでは、ビッグ4の全盛期だった2012年に、スポーツ心理学の権威であるジム・レーヤー博士に訊いた。その内容を紹介しよう。2回目となる今回は、歴史的な決勝となった2012年全豪オープンのジョコビッチ対ナダルの試合を掘り下げる。

――◆――◆――

 5時間53分の間、ハイレベルなプレーを展開したジョコビッチとナダル。これほど長時間にわたって集中力を維持できるものなのか。レ―ヤー博士は、次のように語ってくれた。

「まずは、彼らの注目すべきフィットネスがなければ不可能なことです。身体が限界にくると、精神をコントロールすることはできません。他に言えることはどれほど勝利を熱望しているかです。

 勝利に対する強い意志、どれだけ疲れていても、どんなにアンラッキーなことがあっても決して諦めずに戦い続けられるかということです。人間にはとても注目すべき点があり、良いトレーニングができており、あとはゴーサインを待つだけという状態にしておけば、6時間の試合も可能になります。

 彼らの勝利への貧欲さは一般の人では想像できないほど強いものがあります。全細胞が勝利を欲しており、勝利への意欲が微塵も薄れることはありません。それがなくてはあの試合は起こり得ないでしょう」

 ジョコビッチは試合終盤、長いラリーでポイントを失った時、コートで大の字になったが、集中は切れなかった。この一連の行動は興味深いと言う。

「通常では、アスリートがこのような行動を取った時には、集中力を失いやすいものです。しかし、彼はコートに大の字になり、この時にリカバリーすることに努め、実際に復活してきました。これはリカバリーの速さを意味しています。メンタルタフネスはリカバリーの速さと強い関係があります。早い回復はメンタルタフネスがあるということです。

 この時、彼はユーモアのセンスも発揮し、少しの時間みんなが笑って試合が止まりました。実際のところ彼はメンタルをまだ完全に自分自身でコントロールできている状態だったのです。彼はまだ諦めてはおらず、脳は十分に働いており自分が何をするべきかを正しく把握できていたのです」

 この試合の結果、ナダルはジョコビッチに対して7連敗となった。連敗を続けている相手に勝つには、試合前にどんなメンタルの準備が必要なのだろうか。

「ビリーブシステムを構築する必要があります。どのようにトレーニングをするかというところから、新しいアプローチの方法を見つけ出さなくてはいけません。そうしなくては、相手の調子が悪い日以外は今までと同じ結果になってしまうでしょう。

 つまり、新しい戦略が必要です。新しい考え方、新しい取り組み方、新しいトレーニング方法、要するに新しいストーリーです。色々な違ったことをして、違ったゲームプランを持ってコートに立てば、勝つチャンスが生まれます」

解説者●ジム・レーヤー(Jim Loehr)
M・ナブラチロワなどトップアスリートのメンタル指導を行ない、1987年に「メンタル・タフネス」を発刊。現在は自身が共同創設者であるJohnson & Johnson Human Performance Institute, Inc.で一流企業のエグゼクティブに向けてメンタル指導を行なっている。 

取材●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)、コーディネーター●石井秀樹
※スマッシュ2012年7月号から抜粋・再編集

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