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「もうずいぶん前のことだね」復活途上のワウリンカが僚友ティアフォーとの大激戦を制し、芝で3年ぶりの勝利!<SMASH>

中村光佑

2022.06.15

37歳のワウリンカがティアフォーとの“オールタイブレークマッチ”を制した。芝では2019年ウインブルドン以来の白星だ。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「シンチ選手権」(6月13日~19日/イギリス・ロンドン/グラスコート/ATP500)は現地6月14日にシングルス1回戦が行なわれ、ケガからの完全復活を目指す元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/現290位)が登場。フランシス・ティアフォー(アメリカ/同27位)を7-6(2)、6-7(6)、7-6(5)のフルセットで下し、2回戦へ駒を進めた。

 2度の左足の手術と懸命なリハビリを経て、今年3月にスペイン・マルベージャのチャレンジャー大会でカムバックを果たしたワウリンカ。実は今大会にはティアフォーとのペアで男子ダブルスにも出場したが、こちらはジョン・ピアース(オーストラリア)/フィリップ・ポラセク(スロバキア)組に2-6、3-6のストレートで初戦敗退。そして奇しくもシングルス初戦でティアフォーとの直接対決が実現することとなった。

 この日の初戦は序盤から互いにサービスキープが続く拮抗した展開となり、第1セットからタイブレークに突入。ここでワウリンカがポイントを先行してしっかりとリードを守り切り、1セットアップとする。

 第2セットも両者譲らずタイブレークに。ワウリンカは一時マッチポイントを握るも、粘りを見せるティアフォーに逆転でセットオールに持ち込まれる。迎えたファイナルセットでも第1ゲームで早々にブレークを許したが、ティアフォーのサービング・フォーザマッチとなった第10ゲームで起死回生のブレークバックに成功。これで息を吹き返したワウリンカがこの日3度目のタイブレークを制し、2時間47分の大激戦に終止符を打った。
 
「もうずいぶん前のことだね」という言葉通り、シングルスにおけるワウリンカの芝大会での勝利は2019年のウインブルドン1回戦以来約3年ぶりのことだ。「決して得意ではない」と語るグラスコートで親交の深いティアフォーと長丁場を戦ったことについて、37歳の名手は「今日は最高だった。素晴らしい試合だった」と振り返った。

 そのうえでワウリンカは「ティアフォーとはいつもビッグマッチを演じている。今日もそのような試合を勝ち切ることができてうれしいよ。自分でもよく戦えたと思う。プレーのレベルは悪くなかったと思うし、勝てたことがうれしい」と素直に喜びを表現した。

 それでも現状に満足せず、「これはプロセスの一部なんだ」とさらなる活躍を誓ったワウリンカ。「この年齢で1年以上ツアーから遠ざかっていると、復帰するのに時間がかかる」としつつも、「この雰囲気を楽しんでいる。今日みたいにファンの前でプレーするのは楽しいよ」と、一瞬一瞬を噛み締めているようだ。

 なお初戦突破を果たしたワウリンカは続く2回戦でデニス・シャポバロフ(カナダ/15位)とトミー・ポール(アメリカ/35位)による1回戦の勝者と対戦する。タフなバトルを乗り越えたワウリンカがどこまで勝ち進むのか注目したいところだ。

文●中村光佑

【PHOTO】ワウリンカのサービスフォームの変遷。2010年と2016年を比較した連続写真
 
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【動画】ワウリンカがオールタイブレークの末にティアフォーを下した激戦のハイライト