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海外テニス

【伊達公子】ポイントが付かないウインブルドンは、とても大きなマネートーナメントのよう<SMASH>

伊達公子

2022.06.24

「賞金だけで切羽詰まった時に執着心が生まれるのかはわかりません」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「賞金だけで切羽詰まった時に執着心が生まれるのかはわかりません」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 6月27日からテニス四大大会の1つであるウインブルドンが始まります。今年のウインブルドンはポイントが付かないという前例のない事態になりました。ポイントとランキングが全てではありませんが、その2つがモチベーションになっている部分はあります。

 ポイントはなくても賞金は出ますし多くの選手は出場するでしょう。トッププレーヤー、日本や中国以外は、選手にそれほど多くのスポンサーがついているわけではありません。つまり賞金で生活している選手にとっては、ポイントがなくても重要ですし、今年は賞金額も大会最高額になり、出ない選手がいると上にいける可能性も広がるという考え方もあります。

 ただし、ポイントがなく賞金だけで切羽詰まった時に執着心が生まれるのかはわかりませんね。この試合に勝てばポイントをディフェンドできるとかランキングが上がるという、勝利にしがみつく要素が1つないわけですから、結構あっさり勝負がつく可能性もあります。

 ポイントが付かず、昨年のポイントがなくなるなら、フェアでない部分も見え隠れします。コロナ禍の時と比較していいかはわかりませんが、2020年や21年はランキングを凍結させたりと、コロナの影響で欠場した選手にもアンフェアにならないように工夫を凝らしていました。それが今回はディフェンドの機会がなくなり、そのことについての説明もありません。
 
 ポイント付与はWTA(女子テニス協会)とATP(男子プロテニス協会)が決めることなので、ウインブルドンがどうこう言える部分ではありませんが、意見の食い違いがこの事態を招いてしまっているのでしょう。

 昔、イギリスには賞金が出てポイントが付かないマネートーナメントがありました。芝の練習コートを確保するのは大変なので、ランキングが高い選手も結構出場していたんです。今年のウインブルドンは、ずいぶん大きなマネートーナメントになったという感じがします。とは言ってもやはり「Wimbledon」です。歴史上、記録として残されるわけなのでやはり特別であることは変わらないという見方をすることもできます。

 この状況で開催されるウインブルドンで、他のグランドスラムと同様に意欲を燃やせるのは、ジョコビッチでしょう。ナダルが全仏オープンに優勝して、現在グランドスラム優勝回数が史上最多の22になっていますから、ジョコビッチは突き放されないように、21個目のタイトルを狙っているはずです。これは大きなモチベーションになります。

 女子での注目は世界1位のシフィオンテク。彼女の連勝がどこまで続くのかに注目です。ただ、クレーやハードに比べると、芝はそれほど得意ではないサーフェスです。その中で連勝というプレッシャーがのしかかってくるので、難しい戦いを強いられることになると思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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