海外テニス

「今夜は絶対にワインを飲みたいね」世界40位のキリオスが8年ぶりにウインブルドン8強入りで上機嫌<SMASH>

中村光佑

2022.07.05

右肩の状態は心配だが、久々にグランドスラムで結果を出しているキリオス。(C)Getty Images

 歯に衣着せぬ物言いと類まれなるポテンシャルでファンを魅了し続けている27歳の勢いが止まらない。

 現地7月4日に行なわれたテニス四大大会「ウインブルドン」の男子シングルス4回戦で世界ランク40位のニック・キリオス(オーストラリア)が同56位のブランドン・ナカシマ(アメリカ)に4-6、6-4、7-6(2)、3-6、6-2のフルセットで勝利。準々決勝へと駒を進めた。

 3回戦では3時間を超える激戦の末に、世界5位のステファノス・チチパス(ギリシャ)を撃破したキリオス。ところがこの日のナカシマとの4回戦では第1セット終盤に「チチパスとの試合の後から状態が良くなかった」右肩に鋭い痛みが生じ、思うようなプレーができずに第1セットを落としてしまう。

 早くも劣勢に立たされたキリオスだが、その後は冷静なプレーで徐々にナカシマにプレッシャーをかけていく。第2セットでは第3ゲームで先にブレークに成功し、そのリードを守って1セットオールに。両者ともに一歩も譲らない展開となった第3セットもキリオスがタイブレークの末に奪取し、勝利に王手をかける。

 第4セットでは終盤にミスを連発したキリオスが第6ゲームから4ゲームを連取され、勝負の行方はファイナルセットへ。それでも第2セットでトレーナーからもらった痛み止めが効いたのか、前後の揺さぶりを交えた多彩な攻撃で2度のブレークを果たし、3時間11分の熱戦をものにした。
 
 2014年大会以来8年ぶりに聖地ウインブルドンでベスト8入りを果たしたキリオス。またグランドスラムでの8強進出は15年全豪オープン以来実に7年ぶりのことだ。

 試合後のインタビューでキリオスは「ベストパフォーマンスには程遠かったけど、勝てて本当にうれしいよ。今日は本当によく戦ったし、観客も素晴らしかった。この1カ月半、たくさんテニスをやってきたけど、安定したプレーができたことを誇りに思っているよ」と素直に喜びを表現。

 その一方で20歳にして神聖なセンターコートで物怖じしないプレーを見せた対戦相手のナカシマをこう称賛した。「ブランドンは本当によく戦ったと思う。彼はとんでもない選手だ。彼はまだ20歳で、将来何か特別なことを成し遂げることは確かだ」

 そんなナカシマとのタフなバトルを乗り越えたキリオスは「今夜は絶対にワインを飲みたいね」上機嫌に語り、インタビューを締めくくった。

 次なる準々決勝でキリオスはチリ人男子選手として13年ぶりの四大大会8強進出を決めた世界43位のクリスチャン・ガリンと対戦する。互いに自身初のベスト4入りが懸かる大一番で、キリオスがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか注目だ。

文●中村光佑

【PHOTO】キリオス、ナカシマら、ウインブルドン2022で活躍している男子選手たちの厳選写真を公開!
NEXT
PAGE
【動画】キリオス対ナカシマのフルセットにおよぶ激闘のハイライト