海外テニス

ウインブルドンが中国不明テニス選手を心配するTシャツ「ペン・シューアイはどこだ?」の会場内着用を許可<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.07.08

2013年のウインブルドンでは女子ダブルスを制したこともあるペン・シューアイ(右/写真は優勝時)の安否を気遣う活動が続いている。(C)Getty Images

 昨年11月に中国元副首相による性暴力をSNSで告発して以降、その行方がわからなくなっている女子テニスのペン・シューアイさん。今年2月には問題の鎮静化を図りたい当局によって北京五輪会場に姿を見せるなどしたが、五輪閉幕後は再び行方不明となっている。

 そんな彼女を心配する活動家4人が7月5日、「ペン・シューアイはどこだ?」と大きく書かれたTシャツを着て現在開催中のウインブルドン会場に出現。不明選手について少しでも意識を高めてもらおうと、詰めかけた観客やメディアに対して無言のアピールをした。

 だが、英紙『The Guardian』ほか複数のメディアによれば、会場近くの広場に姿を現した4人はすぐに居合わせた警備員に行動を止められ、強制的に所持していたバッグの中身を調べられ、さらには会場内で他の観客への接近や話しかけを慎むようにも指示されたという。

 こうした一連の対応に納得のいかない活動家の一人は、その様子をSNSで公開して対応を批判。

 すると「発言を許さないなんて、ロシアや中国がやることではないの」とウインブルドンで過去9回優勝の元女王マルチナ・ナブラチロワ氏がすぐさま反応。

 また、大臣経験もあるイギリスのイアン・ダンカン・スミス議員は「ウインブルドンへ、この国では言論の自由が重んじられる」と釘を刺した。
 
 ウインブルドンを主催するオールイングランド・ローンテニス&クローケークラブの広報担当者は、警備員が活動家に声をかけたことを認めた上で「彼ら(活動家)は今後も会場でTシャツ着用することができる」と表明。

 そして「我々は世界中の人々と同じようにペン・シューアイさんのことを心配しており、WTA(女子テニス連盟)の取り組みを引き続きサポートしていく」とした。

 事件発生から8カ月が過ぎ、人々の記憶からペン・シューアイさんの姿が消えかかろうとしているが、決して問題が解決されたわけではない。過激な活動は控えるべきだが、今後も事件に対して人々に意識を高めてもらう行動は必要だろう。

構成●スマッシュ編集部

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【画像】「ペン・シューアイはどこだ?」のTシャツを着た活動家