海外テニス

ホーム&アウェーから1カ国開催に変更したデビスカップ。この改革は吉と出るか?【鈴木貴男コラム】

鈴木貴男

2019.11.19

ホーム&アウェー新フォーマットで開催されているデビスカップ・ファイナル。どの国が優勝を手にするのか?(C)Getty Images

 今年からデ杯のフォーマットが変更され、1カ国開催となりました。18カ国の代表たちが一堂に会すことはあまり目にできることがなかったので、楽しみですね。

 日本は錦織圭が欠場し、西岡良仁、内山靖崇、杉田祐一、ダニエル太郎、マクラクラン勉の5人が選手に選ばれています。デ杯はやはりその時一番調子のいい選手を使うのが勝利への近道だと思うので、内山はダブルスで温存したりせず、シングルスでどんどん使ってほしいところです。

 なぜなら彼自身は、以前からシングルスを主体としていたのですが、日本チームとしては、他の選手に比べると結果が出ていなかったし、プレースタイルの適正も考えると、ダブルスで起用しやすかったと思います。「ダブルスのスペシャリストに…」という声もありましたが、彼の中で「シングルスで結果を出したい」という思いにブレはありませんでした。

 その中でようやく27歳で自己最高の78位となることができ、ツアーレベルで戦える時期がきたのです。

 デ杯は来年内山がツアーで戦っていかなくてはならない選手がたくさんいます。しっかりと準備をして臨んでほしいと思います。
 
 ところで、新方式のデ杯ですが、僕自身、ずっとホーム&アウェーでデ杯を戦ってきたし、そこで積んだ経験も多くあるので、寂しいといえば寂しいのですが、選手がしっかり賞金がもらえて、テニスファンが楽しめる大会になるのであれば、それは受け入れるところだと思います。

 フランスではヤニック・ノアが、このフォーマットを理由に監督を辞任していますが、フランスには「国別対抗戦を応援する」という文化がしっかり根付いています。協会、プレス、そしてサポーターがデ杯やフェド杯のファンであり、自国を優勝させたいと思っている。ノア自身もサポートを含めて交流があり、ホームでの高揚感、アウェーでの緊張感を味わえるあのフォーマットが好きだったのだと思います。

 1月にはATPカップも行なわれ、9月にはレーバーカップもあり、団体戦がテニスの魅力の一つとなってきそうです。今後色々な変化はあると思いますが、まずはデ杯の新しいトライを興味深く見てみましょう。

●鈴木貴男(すずきたかお) 
Team REC
1976年9月20日生まれ。グランドスラム、ATPツアーを転戦した経験を生かし、現在はプロテニスプレーヤーであるかたわら、ツアーコーチ、トップジュニアの指導、そして愛好家へのクリニックとマルチな活躍を見せている。ジャパンオープンシングルスベスト8、ダブルス優勝。全日本選手権3回制覇。WOWOWのデ杯を解説する。