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海外テニス

「芝のマスターズは理にかなっている」ATP会長がグレードの高い大会を増やす構想を語る<SMASH>

中村光佑

2022.07.26

ATP会長のアンドレア・ガウデンツィ氏(左)。格上げの可能性があるドイツのハーレ大会(右)。(C)Getty Images

ATP会長のアンドレア・ガウデンツィ氏(左)。格上げの可能性があるドイツのハーレ大会(右)。(C)Getty Images

 ATP(男子プロテニス協会)の会長を務めるアンドレア・ガウデンツィ氏がウインブルドンの前哨戦として、新たに芝コートでグランドスラムに次ぐマスターズ1000の大会を開催することを前向きに検討していると発言した。

 現在行なわれているマスターズ全9大会の内訳はクレーコートが3大会、ハードコートが6大会となっており、これまで芝コートで開催されたことは1度もなかった。

 そんな中でガウデンツィ氏はかねてから「グラスコートでのマスターズを追加する計画は個人的に気に入っている」と話していた。テニス系海外メディア『UBITENNIS』によるとATPは将来的にマスターズの大会数を10に増やすことを目論んでおり、その追加分で新たに芝コートにおける同カテゴリーのトーナメントを創設する計画を練っているようだ。

 ガウデンツィ氏はこのほど応じたドイツのテニス専門メディア『Tennis Magazine』のインタビューで、グラスコートでのマスターズ開催を好意的に捉えている理由をこう説明した。

「全仏オープンとウインブルドンの間には3週間の空白がある。グラスコートはマスターズのトーナメントが行なわれない唯一のサーフェスだ。つまり、ローマ・マスターズから夏のカナダ・マスターズまでの2カ月間、ATPはファンに向けたプレミアムコンテンツがないことになる。ほぼ全てのプレーヤーが、ウインブルドン開幕までの3週間にわたる芝シーズンの真ん中あたりからスタートするから、芝のマスターズは理にかなっている」
 
 なお現段階で実現の可能性の高いプランとしては、毎年6月に開催されている「シンチ選手権」(イギリス・ロンドン/ATP500)と「テラ・ウォルトマン・オープン」(ドイツ・ハーレ/ATP500)のどちらかを格上げするというものだ。

 ガウデンツィ氏はドイツとイギリスでテニスの普及が進んでいること、さらにはウインブルドンに臨む上で時差や移動距離による選手の負担を軽減できることが、ハーレ大会とロンドン大会のいずれかをマスターズに昇格させる大きなメリットだと語る。

「ドイツ人は、テニスとその歴史が大好きだ。それはイギリスでも同じだ。だからドイツと同じようにロンドンでも芝のマスターズが開催される可能性がある。ウインブルドンの開幕前に、選手たちがすでにロンドンに滞在できるという利点もある」

 一方でガウデンツィ氏は「もうすでにロンドンにはウインブルドンがあるからね」として、ロンドン大会の格上げは若干ながら見込みが薄いことも明かした。

 短い芝シーズンでもマスターズが行なわれるとなればまた一つファンの楽しみは増えるだろう。だが今回のガウデンツィ氏の発言を受け、選手たちがどのような反応を示すのかは気になるところだ。

文●中村光佑

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