海外テニス

悪童キリオス、グランドスラム決勝の敗戦でビッグ3の凄さを再認識「今は前よりも尊敬しているよ」<SMASH>

中村光佑

2022.07.27

ウインブルドン決勝で敗れたキリオス(右)は、ジョコビッチ(左)の揺るがぬメンタルを肌身で感じ、いっそう敬意を持ったという。(C)Getty Images

 男子テニス世界ランク47位のニック・キリオス(オーストラリア)が、8月初旬に自身が出場予定の男子テニスツアー「シティ・オープン」(8月1日~7日/アメリカ・ワシントン/ハードコート/ATP500)が配信したインスタグラムライブに登場。その中で長年男子テニス界を牽引してきた「ビッグ3」(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ)に対し、尊敬の念を抱いていることを明かした。

 歯に衣着せぬ物言いと破天荒な性格から、度々メディアに取り沙汰される27歳のキリオス。それとは裏腹にプレーの面では類まれなるポテンシャルを持ち、キャリアの初期から世界のトップに駆け上がることを期待されてきた。

 新型コロナウイルス感染拡大以降は出場大会数を絞っていたことにより、一時はトップ100圏外へランキングを大きく落としていたが、抜群のテニスセンスはいまだ健在だ。先のテニス四大大会「ウインブルドン」では30度目のグランドスラム本戦出場にして初の決勝進出を果たし、新たなマイルストーンを築き上げた。

 そのウインブルドン決勝でキリオスが敗れたのは元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)だ。惜しくもタイトルには手が届かなかったものの、キリオスはビッグ3の一角であるジョコビッチと最高の舞台で戦ったことで「フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人をリスペクトする気持ちが大きくなった」という。
 
「バタバタしているところを見たことがない」。ジョコビッチを含め、どんな状況でも揺るがない3人のレジェンドの驚異的なメンタルの強さに脱帽していると語った。

「グランドスラムを制するには、いわゆる"メンタルアニマル"(強靭なメンタルを持つ人のこと)でなければならないんだ。ノバクとフェデラー、そしてナダルに対しては、今は前よりも尊敬しているよ」

 だからこそキリオスは他を寄せ付けないジョコビッチと、誰もが憧れるテニスの聖地で優勝を争ったことが自分でも信じられなかったようだ。

「自分がどれだけすごいことをしたのか実感が湧かなかったし、それを理解するのにも時間がかかった。ウインブルドン決勝から1週間経って、ようやく実感が湧いてきた」

 ここ最近はツアー大会でも安定した成績を残し、7月25日に発表された最新のランキングでは2021年3月以来約1年4か月ぶりにトップ50へ復帰したキリオス。年内最後のグランドスラム「全米オープン」(8月29日~9月11日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)を頂点とした北米ハードシーズンでもさらなる活躍を期待したいところだ。

文●中村光佑

【PHOTO】キリオス、ジョコビッチらウインブルドン2022で活躍した男子選手