海外テニス

ウクライナ支援のチャリティマッチに参加予定のコスチュク、侵攻国の選手が「参加するのは反対」<SMASH>

中村光佑

2022.08.23

20歳のコスチュクは以前からロシア・ベラルーシ選手への厳しい措置を求めている。(C)Getty Images

 全米テニス協会(以下USTA)は「平和を実現するためのテニス」と題し、ウクライナ独立記念日にあたる現地8月24日に同国の支援を目的としたチャリティマッチを開催する。テニス系海外メディア『UBITENNIS』では侵攻国のロシア・ベラルーシの選手も同イベントに参加する可能性があると報じられており、その中には元世界女王のビクトリア・アザレンカも含まれているという。

 ところがウクライナ国籍で女子世界72位のマルタ・コスチュクはこのほど応じた母国のテニス専門メディア『BTU』のインタビューで「侵攻国(ロシア・ベラルーシ)の選手が参加するのであれば私はエキジビションでプレーをしない」と表明したのだ。ただ彼女がそう言うのも何ら不思議なことではない。

 今回のUSTA主催のイベントに参加予定のコスチュクは今年2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、強く反戦の意を示すとともに、ツアー大会でロシア・ベラルーシ人選手に積極的な措置を講じようとしないテニス界の現状についても度々批判してきた。今年4月には自身の公式SNSでロシア・ベラルーシ人選手をあらゆる国際大会から締め出すよう求めたほどだ。

 それゆえにコスチュクは今回のインタビューでも「(チャリティマッチに)ロシア・ベラルーシの選手を招待するアイデアについては誰も我々の意見を聞いていないし、誰もそんなことに興味はない」と再び強めの口調で批判。またグランドスラムで2度の優勝を誇るアザレンカであっても「参加するのは反対」とのコメントを出している。そう考える理由については以下のように説明した。
 
「彼女がスタコフスキー氏やモンフィスと話した時期があったことは知っているけど、私たちとは話していないわ。私のランキングが高くないからあまり私のことを気にかけていないのかもしれない。でも私は戦争についてずっと声を上げていたし、出場禁止令についても支持していたから私の発言は大いに注目されると思っていた」

「彼女が公の場で戦争について明確にどのようなスタンスをとっているのかを見たことがないし、私たちと友好的な関係を持っているわけではない。それなのに親ウクライナのイベントに参加すると言っているのよ。私たちと戦争について話すこともないままそんなことをするなんて理解できないわ」

 ちなみに今回のチャリティマッチにはココ・ガウフ(アメリカ)、ラファエル・ナダル(スペイン)、カルロス・アルカラス(スペイン)など男女のそうそうたるスーパースターも集結することになっている。なおイベントの収益金はウクライナ危機救済基金「GlobalGiving」に寄付される予定だ。

文●中村光佑

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