海外テニス

「どこまでトップに近づけるか」元王者マリーが全米OP3回戦敗戦後にモチベーションを語る<SMASH>

中村光佑

2022.09.04

世界14位のベレッティーニと熱戦を演じたマリー。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全米オープン」の男子シングルス3回戦で敗退した元世界ランク1位のアンディ・マリー(イギリス/現51位)。試合後の会見では悔しさを露わにしながらも、「今シーズンは良くなっている」と前向きにコメントした。

 全米では2008年に準優勝、12年に優勝を飾っている35歳のマリー。今大会は初戦でフランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン/27位)をストレートで破ると、2回戦でも地元勢のエミリオ・ナバ(アメリカ/203位)に逆転で勝利。6年ぶり12度目となる3回戦進出を決め、相性の良いニューヨークの舞台でさらなる勝ち上がりを期待されていた。

 しかし、現地9月2日に行なわれたマテオ・ベレッティーニ(イタリア/14位)との3回戦では粘りを見せながらも4-6、4-6、7-6(1)、3-6で敗戦。会見では「彼はサービスが非常に良く、フリーポイントをたくさん取っていた。僕は反対にサービスの調子が悪くて、フリーポイントも取れなかった。それが違いだったんだ」と敗因を語り、「負けてしまったのは本当に悔しい」と無念の心境を明かした。

 以前は現役引退の可能性を頑なに否定してきたマリーだが、最近はキャリアの終焉に言及することが増えてきている。実は2回戦後の会見でも「引退の時期は準備ができたら決めるよ」と話していたのだ。
 
 だが四大大会3勝を誇る元世界王者は結果こそ伴わなかったものの、トッププレーヤーであるベレッティーニと互角に戦えたことが何らかの手応えをつかんだようだ。臀部のケガによる人工関節挿入の大手術を経てプレーを続けているマリーは「明らかに僕は5年前、6年前のような動きはできていないし、フィジカルも全く仕上がっていない。前みたいなプレーができることを期待してはいけない」と厳しい現実に直面していることを認めつつも、以下のようにポジティブな言葉を残している。

「以前ほどボールを追いかけられなくなったかもしれないし、リーチも昔ほどはないかもしれないけど、以前と同じ質のショットを打つことを阻むものは何もないんだ。今年は良くなっていると思う。今年の初めは何位だったかも覚えてないけど、今はライブランキングでも40位くらいまで上がってきているし、まだまだ頑張れるよ」

「多くの人から『もうプレーできないだろう』とか、『ボールを打つことはできてもプロとして戦うことはできないだろう』とか言われたよ。でもそれはナンセンスなことだ。(僕自身は)どこまでトップに近づけるか試してみたい。それがモチベーションになっている」

 長らく深刻なケガに悩まされてきた中、不屈の闘志で復活を遂げたマリー。会見での言葉通り、まだまだこの先もコート上で輝きを放つ姿を見せてもらいたいものだ。

文●中村光佑

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