海外テニス

「ウインブルドンで自信を得た」世界25位のキリオスが前年覇者のメドベージェフを撃破<SMASH>

中村光佑

2022.09.05

自身初となる全米ベスト8を決めたキリオスは、好調の要因を語った。(C)Getty Images

 テニス四大大会「全米オープン」は現地9月4日に男子シングルス4回戦を実施。第23シードのニック・キリオス(オーストラリア/世界ランク25位)がディフェンディングチャンピオンのダニール・メドベージェフ(ロシア/同1位)を7-6(11)、3-6、6-3、6-2で下し、同大会初となるベスト8進出を決めた。

 7月のウインブルドンでグランドスラム初の決勝進出を果たし、8月初旬のシティ・オープンでも優勝を飾るなど、今季は一皮も二皮も剥けた姿を見せているキリオス。今大会は初戦で同郷の後輩タナシ・コキナキス(70位)をストレートで破ると、2、3回戦でもポテンシャルの高さを遺憾なく発揮してベスト16へ駒を進めていた。

 昨年大会覇者のメドベージェフとは今大会が5度目の顔合わせ。実はキリオスはメドベージェフに過去3勝1敗と非常に相性が良い。直近では全米前哨戦のナショナル・バンクオープン2回戦で対戦したばかりで、この時もキリオスが逆転で勝利していた。

 テニスファンからも大きな注目を集めていたこの日の4回戦も先に均衡を破ったのはキリオスだった。メドベージェフのセカンドサービスに対して攻撃的なリターンを仕掛け、相手のミスを誘って第6ゲームでブレークに成功。だが直後の第7ゲームでブレークバックを許してタイブレークへ持ち込まれ、ここでは両者点を取り合う白熱の展開に。巧みなドロップショットやリターンエースでメドベージェフのセットポイントをことごとく凌いだキリオスが第1セットを先取した。

 集中力が切れて第2セットを落としたキリオスだったが、その後はしっかりと切り替えて持ち前の多彩な攻撃を披露。メドベージェフに流れを渡さず、第3セットを奪って勝利に王手をかける。

 勢いの衰えないキリオスは迎えた第4セットも強烈なフォアハンドを起点にポイントを積み重ね、第2ゲームから5ゲームを連取。マッチポイントをサービスエースで締めくくり、2時間53分のタフな戦いに終止符を打った。
 
 試合後のオンコートインタビューでキリオスは「自分としてはいいパフォーマンスができたし、自分にいい意味でプレッシャーをかけることもできた。多分メドベージェフの方がプレッシャーを感じていたのではないかと思うけど、こんなアメージングな舞台で勝つことができて非常にうれしい」と感慨深げに喜びを語った。

 キリオスと言えば天賦の才能を持ちながらもこれまで幾度となく試合中のメンタルコントロールに苦しみ、思うような成績を残せていなかったことで知られる。インタビュワーのパトリック・マッケンロー氏から「何があなたの才能を目覚めさせたのか?」と問われた27歳は自信に満ちた様子でこう答えた。

「ウインブルドンで自信を得たことが大きい。毎日やっているハードワークが結果に出ていると思う。ガールフレンドやトレーナー、チーム全体が自分を支えてくれることもいい結果につながっているんだろう」

 最後には「ここまで来たら頂点を目指したい」と四大大会初優勝への意欲も示したキリオス。現地時間9月6日に行なわれる準々決勝ではカレン・ハチャノフ(ロシア/31位)と対戦する。

文●中村光佑

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