海外テニス

「今はちょっと疲れています」3試合連続となる死闘を戦い抜き全米OP初優勝を飾ったアルカラス「これまでの努力が実りました」<SMASH>

中村光佑

2022.09.12

優勝した瞬間、コートに大の字に倒れ込んだ19歳のアルカラス。歴史を塗り替えた。(C)Getty Images

 テニス四大大会「全米オープン」は現地9月11日に男子シングルス決勝を実施。第3シードのカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランキング4位)が第5シードのキャスパー・ルード(ノルウェー/同7位)を6-4、2-6、7-6(1)、6-3で下し、悲願のグランドスラム初優勝を果たした。

 4回戦から準決勝まで3試合連続でフルセットマッチを戦い抜いてきた19歳のアルカラス。体力面での不安が大きかった中、初のグランドスラム決勝の大舞台でプレッシャーに負けず終始堂々としたプレーを披露した男子テニス界の超新星が3時間20分の熱戦の末にタイトルをつかみ取った。

 この結果アルカラスは1990年大会でピート・サンプラス(アメリカ)が達成した19歳28日に次ぐ10代の全米チャンピオンとなり、同時に2001年にレイトン・ヒューイット(オーストラリア)が記録した20歳8カ月28日での最年少世界ランキング1位も更新することが確定。また10代の選手が世界1位の座に就くのは男子テニス史上初の快挙だ。

 涙を見せたコーチのファン・カルロス・フェレーロ氏と熱い抱擁を交わしたアルカラスは試合後の表彰式で「夢見てきたことが叶ったという感じです」と感無量。「全米のチャンピオンですし、世界ランクも1位になります。グランドスラムの優勝者にもなりました。これはうまく言葉にできないですね。感情がこみあげてきてしまって…」と喜びを噛みしめながら言葉を絞り出した。

 またこの日は2001年に発生した同時多発テロ事件から丸21年を迎え、先にスピーチを行なったルードがこれについて言及した。それを受けてアルカラスも「多くの犠牲を払ったみなさんは大変だったと思います。そういう状況で力強く生きるのは大変なことです。自分の気持ちも皆さんと一緒です」と想いを口にした。
 
 連日熱戦を演じてきたことで「今はちょっと疲れています」と笑みをこぼした19歳のチャンピオンは「疲れている場合じゃないと思っていました。それがコートで全てを出し切るための姿勢だと思っています」と、なんとか気持ちを奮い立たせて決勝を戦ったという。

 その後「これまでの努力が実りました」と話したアルカラスは「まだ19歳なので、(今回の優勝は)私の両親や仲間に支えられて達成することができたと思います」と感謝のコメント。最後には会場でずっと声援を送ってくれた自国のファンにも母語のスペイン語で謝意を示した。

「このような特別な日に、スペインだけではなく世界中から来た人々が自分を応援してくれていました。1回戦から僕が感じていた皆さんの僕に対する愛情は信じられないほど素晴らしいものでした。こんな雰囲気の中でいい試合ができたのは皆さんの声援のおかげです。本当にありがとう」

 以前から目標に掲げていた「グランドスラム優勝」を早くも成し遂げて見せたアルカラス。本当に19歳なのか疑ってしまうほどの強さと優れた人間性を兼ね備えた彼はどこまで進化を続けるのだろうか。今後のさらなる活躍を期待したい。

文●中村光佑

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【動画】全米OP決勝 アルカラス対ルードのハイライト