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【歴代好サーバーに学ぶ】高速にして重い球質。コースを隠す能力にも長けたサンプラスのフラットサービス<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.09.27

サンプラスのサービスコースが読めないのは、クローズドスタンスで上体をひねり、身体の左側に壁を作っているからだ(2コマ目)。写真:スマッシュ写真部

 過去から現在まで、テニス界には数多くのグッドサーバーが存在した。彼らが超高速フラットを打てたり、鋭い回転をかけられたりできた、そのポイントとは何か? このシリーズでは、そこから一般愛好家が"イイトコ取り"して憧れのサービスに近付く方法を、元ナショナルコーチの丸山薫氏が解説する。第3回はピート・サンプラスのフラットサービスを解剖!

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 サンプラスはロディックと並び歴代最高のサーバーの1人です。今現役だったとしてもトップクラスに数えられるでしょう。

 彼のサービスの特長は、第一に少しスピン回転がかかった上でスピードがあること。つまり球質が重いことを意味し、それで200キロ以上の速度を当時のラケットで出していたのですから驚異的です。

 2つ目の特長は、コースを隠すのが抜群にうまかったことです。例えばデュースサイドからフラットのセンターをイメージさせておいて、トップスライスを鋭角に落とすなど、同じフォームから多彩なコースに打ち分けて、相手に芯で捉えさせないのです。その秘訣は、身体の左側に作る"壁"にありました。
 
 トロフィーポーズ(写真2コマ目)を見ると、身体の左側の壁が一直線で、バランスが崩れず、圧倒的に奇麗です。これがコースを隠すことにつながります。サンプラスはクローズドスタンスで体幹をひねっており、身体が閉じているため、相手からするとバック側に合わせて壁を作っているように見えるのです。

 そうして相手の意識をバックに向けさせ、瞬時にフォア側を突く。それが彼はお手の物でした。

 一般の愛好家は打つ方向によって構えが変わり、相手に読まれがちです。ぎりぎりまで同じ姿勢を作って隠すことが大切。コースの打ち分けを覚えたら、次は相手を欺く段階です。

【プロフィール】ピート・サンプラス/Pete Sampras(USA)
1971年生まれ。グランドスラム通算14勝。90年代に頂点を極めた不世出の天才オールラウンダー。サービスのクオリティはもちろん、サービスからの展開も多彩で、9割近いキープ率を誇った。

解説●丸山薫 構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2021年11月号より再編集

【PHOTO】相手にコースを読ませないサンプラスのフラットサービス分解写真