男子テニス界の期待の新星として注目を浴びている19歳のホルガー-ビタス-ノドスコフ・ルネ（デンマーク／世界ランク27位）がITF（国際テニス連盟）の公式サイトにブログ記事を寄稿。そのなかで、期間限定でのコーチ契約を結んだパトリック・ムラトグル氏について言及した。

　今年６月の全仏オープンでは、昨年の同大会でグランドスラム初の決勝進出を果たしたステファノス・チチパス（ギリシャ／５位）を４回戦で破るなど怒涛の快進撃を見せ、四大大会初のベスト８に進出したルネ。

　５月の「BMW・オープン」（ドイツ・ミュンヘン／クレーコート／ATP250）ではツアー初優勝を飾り、今月初旬に行なわれた「ソフィア・オープン」（ブルガリア・ソフィア／ハードコート／ATP250）でも準優勝。今季はファンも目を見張るほどの素晴らしい活躍を見せてきた。

　地元デンマークのテニスクラブに入った６歳頃から、プロテニスコーチのラース・クリステンセン氏に師事してきた彼は、先日四大大会23勝を誇る元世界女王のセレナ・ウイリアムズ（アメリカ）を指導したことでも知られる名コーチのムラトグル氏をチームに迎え入れたと発表。これについてルネはブログで「今シーズンの終わりまで指導を受けることになっている」と説明している。

　ちなみに、ムラトグル氏は現在、女子元世界１位のシモナ・ハレップ（ルーマニア／９位）のコーチを務めているが、９月中旬に鼻の手術を受けた同選手が、今シーズンの残りの大会を全て欠場すると表明したため、「たまたま数週間前にフルタイムでチームに帯同する機会があった」ルネを一時的に指導する運びとなった。
  　実はこれは、ルネが当時13歳だった2016年に、ムラトグル氏がフランス国内で運営するテニスアカデミーに入門し、同アカデミーで長らくトレーニングを積んだことも関係している。「当時、彼がどのように選手と向き合っているのかをずっと見ていた」と明かすヤングスターはムラトグル氏の選手育成力をこう評している。

「彼の選手へのアプローチの仕方が好きで、（選手育成に関する）知識も素晴らしい。彼がいるチームは全体的に信じられないようなエネルギーを放っている。そして彼は選手を100%の状態に引き上げてくれる優れた人格と資質を持っている」

　最後にルネは「最高のプレーヤーたちに囲まれた今の雰囲気とそこでの挑戦、そしてこのスポーツに取り組む中で最高の人々と共に歩めることは、別次元にいるようなものだ。この環境はインパクトがあるが、今身の回りで起こっていることすべてが素晴らしい。できるだけ強い気持ちで１年を終えられるようにしたい」とコメント。ムラトグルー氏のチーム加入を心から喜んでいるようだ。

　なお、現在開催中の男子テニスツアー「ストックホルム・オープン」（10月17日～23日／スウェーデン・ストックホルム／インドアハードコート／ATP250）に第7シードで出場中のルネは、現地10月19日に実施されたシングルス2回戦で、クリスチャン・ガリン（チリ／89位）をストレートで下してベスト８へ進出。準々決勝では、第２シードのキャメロン・ノーリー（イギリス／14位）と対戦する。

文●中村光佑

【PHOTO】全米オープン2022で、ルネはじめ熱戦を繰り広げる男子選手たちの厳選写真！