SNS上で拡散されたある“ショッキング”な映像がテニス界に波紋を広げている。
事の発端は児童虐待防止の社会的活動にも積極的に取り組むクロアチア人俳優のイゴール・ユリッチ氏が自身のツイッターに投稿した1本の動画だ。
セルビアのテニスコートで撮影されたという動画には、1人の女子選手と指導者と思わしき男が映し出されているのだが、あろうことかその男が女子選手に詰め寄り、殴る蹴るを繰り返す激しい暴行を加えたのだ。
その後も男はベンチに座り込んだ女子選手の肩を引っ張って地面に引きずり回し、横たわった状態の選手へ再び強めに2、3発の蹴りを入れる。その後、撮影者を含め一連の光景を目撃していた人々が男の凶行を止めるために叫んだところで動画は終了した。
英紙『Daily mail』など複数のメディアによると、男は暴行を受けた14歳の女子選手の父親兼コーチで、2人はともに中国出身だという。
セルビアの首都ベオグラードの内務省の発表では、指導者の男はすでに身元を特定され、「現場となったテニスコートに駆け付けた地元警察に逮捕された。48時間拘束された後、ベオグラードの第一基本検察庁に連行され、暴行の疑いで刑事訴追を受けた」としている。
なお、男は娘に暴行を加えた経緯について「彼女が大事な時期なのに練習を拒否しようとしたんだ」と説明。「だが彼女を傷つけるつもりはなかった。中国ではそのような扱いをすることが許されている」などと供述し、自身の行動の正当性を主張している。
ユリッチ氏が公開した動画は、無論、テニス界でも物議を醸した。男子元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス)は同氏の投稿を引用リツイートする形で「これはひどすぎる!」と暴挙に至った男を痛烈に批判した。
また女子ダブルスの名手として一時代を築いたレジェンドであるパム・シュライバー氏(アメリカ/60歳)も「なんてひどいことを!私たちは皆、このような恐ろしい虐待行為を報告し、告発する必要がある」と反応。
続けてセルビアテニス界のスーパースターであるノバク・ジョコビッチのツイッターアカウント(@Djokernole)をタグ付けしたうえで「彼に協力してもらえるよう呼び掛けてみない?」とも提案し、「イゴールさん、自分の役割を果たしてくれてありがとう」とユリッチ氏に対する感謝の言葉を述べた。ちなみにジョコビッチはこの一件に関してまだコメントを出していない。
選手がトラウマを抱えてしまいかねないほどの残忍な体罰はもはや指導とは言えない。今一度テニス界全体でコーチの在り方を考えるきっかけになるのではないだろうか。
文●中村光佑
【写真】なかなか見られないジョコビッチらトッププロの練習やテニス教室の様子
事の発端は児童虐待防止の社会的活動にも積極的に取り組むクロアチア人俳優のイゴール・ユリッチ氏が自身のツイッターに投稿した1本の動画だ。
セルビアのテニスコートで撮影されたという動画には、1人の女子選手と指導者と思わしき男が映し出されているのだが、あろうことかその男が女子選手に詰め寄り、殴る蹴るを繰り返す激しい暴行を加えたのだ。
その後も男はベンチに座り込んだ女子選手の肩を引っ張って地面に引きずり回し、横たわった状態の選手へ再び強めに2、3発の蹴りを入れる。その後、撮影者を含め一連の光景を目撃していた人々が男の凶行を止めるために叫んだところで動画は終了した。
英紙『Daily mail』など複数のメディアによると、男は暴行を受けた14歳の女子選手の父親兼コーチで、2人はともに中国出身だという。
セルビアの首都ベオグラードの内務省の発表では、指導者の男はすでに身元を特定され、「現場となったテニスコートに駆け付けた地元警察に逮捕された。48時間拘束された後、ベオグラードの第一基本検察庁に連行され、暴行の疑いで刑事訴追を受けた」としている。
なお、男は娘に暴行を加えた経緯について「彼女が大事な時期なのに練習を拒否しようとしたんだ」と説明。「だが彼女を傷つけるつもりはなかった。中国ではそのような扱いをすることが許されている」などと供述し、自身の行動の正当性を主張している。
ユリッチ氏が公開した動画は、無論、テニス界でも物議を醸した。男子元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス)は同氏の投稿を引用リツイートする形で「これはひどすぎる!」と暴挙に至った男を痛烈に批判した。
また女子ダブルスの名手として一時代を築いたレジェンドであるパム・シュライバー氏(アメリカ/60歳)も「なんてひどいことを!私たちは皆、このような恐ろしい虐待行為を報告し、告発する必要がある」と反応。
続けてセルビアテニス界のスーパースターであるノバク・ジョコビッチのツイッターアカウント(@Djokernole)をタグ付けしたうえで「彼に協力してもらえるよう呼び掛けてみない?」とも提案し、「イゴールさん、自分の役割を果たしてくれてありがとう」とユリッチ氏に対する感謝の言葉を述べた。ちなみにジョコビッチはこの一件に関してまだコメントを出していない。
選手がトラウマを抱えてしまいかねないほどの残忍な体罰はもはや指導とは言えない。今一度テニス界全体でコーチの在り方を考えるきっかけになるのではないだろうか。
文●中村光佑
【写真】なかなか見られないジョコビッチらトッププロの練習やテニス教室の様子