先週行なわれた男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」（フランス・パリ／インドアハードコート／ATP1000）のシングルス決勝で19歳のホルガー・ルネ（デンマーク／大会時世界ランク18位／現10位）に敗れ、大会連覇と今季５勝目を逃した元世界王者のノバク・ジョコビッチ（セルビア／大会時７位／現８位）。

　試合後の会見では、四大大会に次ぐマスターズ1000大会での初優勝を成し遂げたヤングスターを絶賛するとともに、ルネと同じ年齢の現王者カルロス・アルカラス（スペイン）を比較した。

　パリ決勝では、幸先よく６－３で第１セットを先取したジョコビッチだったが、第２セット以降は、再三のブレークポイントを逃すもどかしい展開が続き、ストローク戦でもアグレッシブな攻撃と粘りのディフェンスを見せるルネにミスを誘われて逆転負け。

　驚異的な精神力で幾度となくピンチを切り抜け、自身を含めたトップ10プレーヤー５人を破って悲願のビッグタイトルを獲得した男子テニス界の新鋭をこう評した。

「彼（ルネ）はファイティング・スピリットを見せた。彼はまた、最後の１打まで精神的に落ち着いていた。あんなに若い選手が、今回のようなビッグマッチで、あのような落ち着きと成熟している姿を見せたのは、とても素晴らしいことだ。彼はこの１週間でトップ10プレーヤー５人を相手に勝利を収めた」
  　続けて、四大大会21勝を誇る35歳の鉄人は、今年９月の全米オープンでグランドスラム初優勝を飾るとともに史上最年少で世界１位の座に立ったアルカラスと、このほどキャリア初のトップ10入りを達成したルネを比較。長年男子テニス界を牽引してきたジョコビッチなりの考察を次のように語った。

「フィジカルの強さでは、２人とも似ているよ。２人とも本当に（フィジカル面で）フィットしていると思う。彼らはとてもハードなトレーニングを積んでいるし、とても熱心な選手だ。彼らはとても良いディフェンスをするし、19歳にして非常に完成された選手だ」

「ルネはバックハンドが良い。アルカラスはフォアハンドが上手い。ただ２人とも、それ以外のショットを改良し続けている。それらのショットに大きな違いがあるという意味ではないよ。ルネのバックもアルカラスのフォアも素晴らしいレベルにある中でのことだ。

　さらに、コート上での彼らのエネルギーは、ただただ自分のモチベーションを高め、良い結果を残そうとするために出しているもので、精神的に安定しているのが印象的だ」

　そして最後にジョコビッチは、出場権を獲得したシーズン最終戦「ATPファイナルズ」（11月13日～20日／イタリア・トリノ／ハードコート）に向け、「何日か前に会場入りしてトレーニングし、ベストな状態で臨めるようにしたいね」とコメント。少しでも良い形でシーズンを締めくくりたいと意気込んだ。

文●中村光佑

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