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海外テニス

ウインブルドンが伝統の“オールホワイトルール”変更を検討。女子選手の不安に配慮し色付き下着を容認か?<SMASH>

中村光佑

2022.11.10

全て白という厳格なドレスコードが存在するウインブルドンだが、プイグはじめ女子選手からの問題提起は多く、大会側も変更を検討し始めた。(C)Getty Images

全て白という厳格なドレスコードが存在するウインブルドンだが、プイグはじめ女子選手からの問題提起は多く、大会側も変更を検討し始めた。(C)Getty Images

 140年以上もの歴史を誇るテニス四大大会「ウインブルドン」では、必ず白色のウェアを着用しなければならないとする厳格なルールが存在する。だがこのほどテニス系海外メディア『UBITENNIS』をはじめ複数の海外メディアが、その伝統的かつ独自の規定に変更が加わる可能性があると報じている。

 幅1センチ以内の縁取りやスポンサー等のロゴ以外、ウェアだけではなくリストバンドやソックス、下着に至るまで「全て白色でなければならない」と定めているウインブルドンの「オールホワイトルール」。ちなみに全身を白で統一するようになった理由は諸説あるものの、色付きのウェアで汗じみが目立ってしまうのを避けるためだとされている。

 ところがこの伝統的なルールはとりわけ生理中の女子選手の悩みの種となっていた。以前、2016年のリオ五輪女子シングルス金メダリストで今年6月に現役を引退したモニカ・プイグ(プエルトリコ)が自身のSNSで「ウインブルドンの大会期間中には生理が来ないように祈らないといけない。白ウェア着用のルールは精神的なストレスになる」と問題提起を行なったところ、現役の女子選手から大きな反響を呼んだ。

 また男子元世界王者のアンディ・マリー(イギリス)の母であるジュディ・マリー氏も、先日応じた英紙『Daily Mail』の取材で、女子選手の生理に言及しながらウインブルドン特有のルールに対する私見を述べた。
 
「以前問題になっていたのは様々なスポーツで常に白いショーツや白いキットが使用されるなど、全てが白基調だったこと。今はほぼ全てのスポーツがカラーウェアの着用に移行している。真っ白なウェアを着ていて、プレー中に経血の漏れを起こす可能性があることについては、もっと多くの選手がオープンに話す必要があるかもしれない。それ以上のトラウマはないでしょうからね」

 さらに、今年7月のウインブルドンでは女子シングルス決勝の直前に「Address The Dress Code(白色ウェア規定の問題に目を向けてほしい)」と題した抗議活動まで行なわれ、抗議者たちはイギリスの大手日刊新聞『The Guardian』のインタビューの中で「女子選手が白いウェアを着てプレーする際に直面する不安を訴えたい」と語っていたという。

 こうした状況を踏まえ、ウインブルドンを主催するオールイングランド・テニスクラブは英メディア『The Telegraph』に送付した声明文で「現在白色ウェア着用ルールの変更を検討している」とのコメントを発表。「女子選手の健康を優先し、個々のニーズに基づいてプレーヤーをサポートすることは、我々にとって非常に重要である。WTA(女子テニス協会)やウェアメーカー、医療チームと共にその方法について協議中だ」とも明かした。

 なお変更後は全身白基調の方針は変わらない一方、主に女子選手に配慮する形で色付きの下着の着用を許可される見込みとなっている。

文●中村光佑

【PHOTO】ウェアは全て白に統一されているウインブルドン。2022年大会のスナップ集
 

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