海外テニス

最終戦の初戦に敗れたキリオスが「俺のエネルギーはかなり落ちている」とポツリ。対戦相手を称賛「テニスのレベルが違う」<SMASH>

中村光佑

2022.11.15

コキナキス(左)とのペアでツアー最終戦に出場しているキリオス(右)。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」(11月13日~20日/イタリア・トリノ/ハードコート)に同郷の後輩であるタナシ・コキナキス(26歳)とのペアでダブルスに出場しているニック・キリオス(オーストラリア)が、敗戦を喫したラウンドロビン(グループリーグ)初戦直後の記者会見に出席。1年を通して過酷なスケジュールをこなしてきたことで「疲労がたまっている」と明かした。

 本来シングルスを得意としながらも、今年1月に豪州ペアとして約25年ぶりとなる全豪オープン優勝を成し遂げたキリオス/コキナキス。今大会には、グランドスラムチャンピオンとなったことで出場権を手に入れていた。

 現地11月14日に実施されたラウンドロビン初戦では、マッチタイブレークにもつれ込む接戦の末、第1シードのウェスリー・コールホフ/ニール・スカプスキ(オランダ/イギリス)に7-6(3)、4-6、[5-10]の逆転で敗れ、黒星スタートとなった。

 今季、ガールフレンドやチームメンバーの温かいサポートを背にプレーしてきたキリオスは、7月に行なわれたウインブルドンのシングルスでも、自身初の四大大会決勝進出を果たすなど大躍進を遂げている。

 だが、多くのツアー大会が欧州や北米で開催されていることから、「母国に戻る時間が確保できない」とツアーを転戦するうえでの悩みを告白。さらには、「休みなくプレーし続けてきたことの代償も大きい」と語る。

「オーストラリアからはすべての大会に56時間ほどかけて足を運ばなければならないからね。他の選手たちが半年ほど家で過ごせるのに対し、俺たちは年に2か月程度しか家にいられない。今、俺のエネルギーはかなり落ちている。ここで(結果が)どうなるかは気にしない。家に帰るのが楽しみだ」
 
 それでもそういった厳しい状況の中で、課題を克服しながら単複で良い結果を残せたことについては「この経験はクールなものだ」とコメント。

「オーストラリア人のテニスの強さは、まだあまり評価されていないような気がする。俺たちはこの1年間、ほとんど旅に出ていた。そんななかで長い時間、家を離れていることや数ある大会でシングルスとダブルスをプレーすること、全てのトレーナーと共に身体を整えながら夜遅くまで起きていなければならないこと、そういったことがあまり評価されていないと思う」と続けた。

 その一方でキリオスは、「ダブルスのために何時間もかけて準備をする必要はない。正直準備が十分ではなかった」としつつも、この日の敗戦については、「今日はまだ大丈夫だった。今日は勝てたかもしれない。でも彼ら(コールホフ/スカプスキ)は俺たちを完全に打ち負かした。テニスのレベルが違う。俺たちは、そのレベルには到底及ばない。つまり彼らが素晴らしいプレーをした」と相手ペアを称賛した。

 現地11月16日に行なわれるラウンドロビン第2戦では、イワン・ドディグ/オースティン・クライチェク(クロアチア/アメリカ)と対戦するキリオス/コキナキス。次戦こそは勝利を期待したいものだ。

文●中村光佑

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【動画】キリオス/コキナキスvsコールホフ/スカプスキによる最終戦ラウンドロビンのハイライト