海外テニス

若き王者アルカラスの進化はジョコビッチが鍵になる!恩師フェレーロが愛弟子について言及<SMASH>

中村光佑

2022.12.02

アルカラス(左)のコーチを務める元王者フェレーロはジョコビッチ(右)の存在が愛弟子の成長を促すと考えている。(C)Getty Images

 男子テニス元世界ランク1位で現世界王者のカルロス・アルカラス(スペイン)のコーチを務めるファン・カルロス・フェレーロ氏(スペイン/42歳)が、欧米スポーツメディア『Eurosport』のインタビューに登場。愛弟子のアルカラスが「より良いプレーヤーになるために競い合わなければならない選手」の1人に、グランドスラム21勝を誇るノバク・ジョコビッチ(セルビア/現世界ランク5位)の名を挙げた。

 今年3月のマイアミ・オープンと5月のマドリード・オープンのマスターズ2大会を制し、さらには9月の全米オープンで悲願のグランドスラム初優勝を成し遂げた19歳のアルカラス。左わき腹のケガで出場権を確保していた11月のシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(イタリア・トリノ/ハードコート)は欠場を余儀なくされたものの、凄まじい成長と進化を見せた男子テニス界の超新星は現地11月21日に更新された世界ランキングでキャリア初の年間1位を達成した。

 ところがそんなアルカラスの輝かしい功績に異論を唱えるファンは非常に多い。それには長らく世界のトップに君臨しているジョコビッチが、新型コロナウイルス・ワクチンの未接種により出場できる大会に制限が課されたことが大いに関係している。

 実際のところ、アルカラスが全米で優勝を飾った時もジョコビッチは米国のコロナ感染拡大防止プロトコルにより、大会出場はおろかアメリカに足を踏み入れることさえも許されなかった。ファン目線では35歳にして未だに若手に引けを取らないパフォーマンスを見せ続けるジョコビッチが多くの大会で欠場を余儀なくされた中での四大大会優勝や年間1位が、「本当の実力を示すものなのかが疑わしい」といったところだろう。

 かけがえのない愛弟子に向けられる厳しい声に対し、フェレーロ氏は「必ずしもそういった意見に賛成しているわけではない」とコメント。その一方で「確かにカルロスが更なる成長を遂げるためには、史上最高の選手と対戦する必要がある」ことは認めており、その中の1人として「ノバク(ジョコビッチ)が必要な選手だ」と話した。
 
 実はアルカラスとジョコビッチは今年5月のマドリード・オープンで1度だけ対戦しており、この時は3時間35分にも及ぶ大激戦の末にアルカラスがフルセットでジョコビッチに勝利している。フェレーロ氏は「マドリードでカルロスはノバクと対戦し、試合に勝とうと自分のレベルを上げていたんだ」と語り、ジョコビッチの類まれなる強さゆえに19歳のヤングスターがポテンシャルを最大限に発揮できたと振り返った。

 また同氏はジョコビッチがシーズン後半に印象的な活躍を見せたことにも言及。「(出場できなかった)全米の後から彼は自分がプレーしたほぼ全ての大会で勝つことができることを示すために、とても集中していたと思う。ファイナルズの優勝も特に驚きはなかった」と、そのレベルの高さに脱帽した。

 そして最後にフェレーロ氏は先日ジョコビッチが正式にオーストラリア入国と来年1月の全豪オープンの出場を許可されたことについて「カルロスと僕は、ノバクが出場するのはうれしいことだと話していたんだ」と歓迎した。

 ぜひとも近いうちにアルカラスとジョコビッチが再び試合で壮絶な打ち合いを繰り広げるところを見てみたいものだ。特に新シーズン開幕直後の全豪で対決が実現すればファンも大いに盛り上がるだろう。

文●中村光佑

【PHOTO】史上最年少の1位となった19歳アルカラスの全米オープン2022優勝までの激闘の記録
 
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【動画】アルカラスがジョコビツチに勝利したマドリードOP試合ハイライト