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【テニスギア講座】ガットを「ハイブリッド」で張るメリットとは? 2つの性能を両立させるための解決策<SMASH>

松尾高司

2023.01.02

通常は縦も横も同じガットを張るものだが、異なる物を組み合わせるのがハイブリッドだ(写真右下)。フェデラーらトッププロが取り入れてから、一気に広まった。写真=松尾高司、スマッシュ写真部

通常は縦も横も同じガットを張るものだが、異なる物を組み合わせるのがハイブリッドだ(写真右下)。フェデラーらトッププロが取り入れてから、一気に広まった。写真=松尾高司、スマッシュ写真部

 今回のテーマはストリング(ガット)の「ハリブリッド張り」です。通常、ラケットには縦糸も横糸も同じストリングを張るものですが、ハイブリッドとは、素材・太さ・表面加工などが異なるストリングを縦と横で組み合わせて張る方法のことです。いったいどんなメリットがあるのでしょう?

 今日、カーボンの高性能化によってラケットフレームの反発性能が飛躍的に向上し、ボールは昔よりはるかに飛ぶようになりました。以前は天然素材のナチュラルガットを張るのが主流だったトッププロたちは、飛びを抑える必要に迫られ、こぞって乗り換えたのがポリエステル製ストリング(通称:ポリ)です。

 これは伸縮発現レベルがとても高いところにあるため、かなり強烈にインパクトしないと本来の性能を引き出せません。それが、飛びすぎに悩むプロのパワーにフィットしたのです。

 けれど、ちょっと困ったことが……。大きなスイングのストロークではいいのですが、振り幅の狭いボレーなどではポリの反発特性を引き出せず、なかなかスパーンと決まらないのです。

 そこでフェデラーをはじめとしたプロたちは、もっと飛ばすために縦糸=ポリ、横糸=ナチュラルを組み合わせました。それをきっかけにハイブリッドという張り方がプロ選手に広まり、一般レベルでも大流行することになります。
 
 筆者はこの張り方が登場した頃、色々実験してみました。縦糸×横糸の組み合わせ方を複数試し、縦ポリ×横ナチュラル、縦ポリ×横マルチフィラメント、縦ポリ×横モノフィラメント、さらにそれら全ての逆パターン……。

 あれこれテストを重ねた結果、辿り着いた答は「打球感覚・打球性能はだいたい縦糸7割:横糸3割の比率で現れる」というものでした。これは、いまだに定説となっています。

 例えば、縦ポリ×横ナチュラルならば、全体的に飛びは抑えられるが、全ポリよりも楽に飛びが出る。逆に、縦ナチュラル×横ポリは、飛びがあって快適にプレーできるが、ここぞという時には強打しても怖くない、といった感じです。

 先にフェデラーの例を挙げましたが、彼は最初「縦ポリ×横ナチュラル」だったのを、パワーアップを図るために「縦ナチュラル×横ポリ」と逆にし、勝率を上げました。調子や環境によって、これを逆にしたりということもあったようです。

 昨今では多くの一般愛好家もハイブリッドを取り入れています。縦横同じでも、どれが自分に最適なのか辿り着くのが大変なのに、縦と横を別々で組み合わせるとなると、そのセットは無限です。

 このコラムでも「これがベスト!」とアドバイスして差し上げたいんですが、あまりに条件が多彩すぎて、どれがいいと言えません。テニスギアに詳しい先輩やコーチ、専門店の店員さんなどに相談しながら、最適なハイブリッドを探す旅へ漕ぎ出してみてください!

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2021年4月号より抜粋・再編集

【PHOTO】ボールがつぶれガットがたわむ! フェデラーらトッププロのインパクトの瞬間!!
 

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